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【間宮久夢流 記事一覧へ移動する。】
<【第3回】早石田破り『鏡の左早繰り銀』記事一覧へ移動する。
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目次
- ◆【第2回 誰も知らないマイナー戦法】三段玉の右玉で入玉!「間宮久夢流」Part2 中終盤編
- ◆「間宮久夢流」中終盤のハイライトシーン
- ◇(55手目)久夢流の最初の狙い「相手の守り駒を消す」
- ◇(68手目)久夢流が制圧したい"ある地点"の話。
- ◇(69手目)これから始まる長い「危険地帯」の奪い合い。相手の角を封じる必殺の手筋『▲4四歩!』
- ◇(71手目)二の矢の引き角棒銀攻め!まずは2六地点の歩を消す。さらに先手は「3七の危険地帯」も消す。
- ◇(87手目)▲3五歩~▲3四歩と3筋の歩を伸ばし「3五地点」制圧の下準備ができたが…。
- ◇(114手目 ハイライトシーン)『敵の打ちたいところに打て』3五地点を奪い取る『継ぎ歩』の手筋!
- ◇(119手目)先手が3五地点を制し、後は入玉!崖っぷちの後手の猛攻だが…ここで現れる『もう一つの入玉ルート』
- ◇(141手目)『もう一つの入玉ルート』とは?▲5七玉~▲6六玉と入る左辺からの抜け道!
- ◇(147手目)入玉を決めるための切り札!『王手&詰めろで手番と空間を強奪!』
- ◇(159手目)ようやく見えてきた入玉!入玉の基本『駒損よりも入玉!』
- ◆「間宮久夢流」中終盤編 7つのポイント まとめ
- ◆今回の記事の棋譜再生&kifファイルダウンロード
- ◆『間宮久夢流』参考棋譜 3局
- ◆第1回~第2回までの「間宮久夢流」記事一覧
- ◆次回の記事【第3回 誰も知らないマイナー戦法】26手で石田流崩壊!鏡の左早繰り銀「新xaby角」
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◆【第2回 誰も知らないマイナー戦法】三段玉の右玉で入玉!「間宮久夢流」Part2 中終盤編
◎前回の記事 ⇒ 【第2回 誰も知らないマイナー戦法】70年前の幻の入玉戦法!「間宮久夢流」振り飛車型 Part1 駒組み編
◎間宮久夢流の記事一覧
●第2回 「間宮久夢流」紹介記事一覧 ⇒ 第2回「幻の入玉戦法 間宮久夢流」記事一覧
◎『誰も知らないマイナー戦法』一覧【第1回~第2回】
●誰も知らないマイナー戦法一覧 ⇒「誰も知らないマイナー戦法」戦法集
【第14図は55手目▲2六金まで】
Part1では序盤の駒組を解説した。
前回のPart1(クリックでPart1の記事へ移動。)では、
上記 第14図までの駒組み手順を解説しました。
遠大な構想で▲4七玉の三段玉に、
▲6八角+▲4六銀型の斜め棒銀、
▲2六金の棒金の布陣を完成させた所です。
何度見ても面妖な先手陣ですが、ここからさらに異能感覚の指し回しが登場します。
それも当然。
『間宮久夢流』は、後手陣へ入玉を狙って絶対に詰まない布陣を目指す異端の戦法なのですから…。
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◆「間宮久夢流」中終盤のハイライトシーン
では今回の記事の見所を紹介しましょう!
下記のハイライト図をご覧ください。
【ハイライト図は114手目△3四歩まで】
先手は制圧したい地点があり…。
(*の付いた青色の文字*を押すと解説が表示されます。)
上記 ハイライト図は、第14図から59手進んだ114手目の局面。
2.3筋で59手かけて金銀桂交換をし、ようやく先手が一歩得した所。
後手は先手の▲3五桂を防ぐため、
△3四歩(上記 ハイライト図)と受けました。
この上記の△3四歩が入玉を狙う先手にとってなかなか厄介な手で、
上記 ハイライト図*から▲3六銀*と打つと、△3五桂*と打たれてしまい▲5八玉*と引かざるを得なくなります。
それでも先手が悪いわけではなく、左辺へ▲6九玉*と逃げる事ができ、先手は右辺から攻めて十分戦果をあげる事ができるので不満ありません。
…などという普通の考え方では、
当然「間宮久夢流」を指す資格はありません。
ここから先手は
入玉に必須の…
"ある地点"を
制圧する一手を指します。
まるで囲碁のような感覚の
「相手の打ちたい場所に打ちこむ」
一手とは…!?
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◇(55手目)久夢流の最初の狙い「相手の守り駒を消す」
下記に第14図を再掲載します。
今回は手順が長くなるので、解説は少なめにして本手順を進めます。
【再掲載 第14図は55手目▲2六金まで】
ここから先手の"責め"が始まる。
△9二香 ▲3五歩 △同歩 ▲同金
△3四歩 ▲2四歩(第15図)≫
≫の付いた青文字を押すと動く盤面で再生。↑
【第15図は61手目▲2四歩まで】
一の矢。棒金の攻め。
今回、後手は無理に攻めずに△9二香と一手手待ちしてもらいます。
無理に動いて先手に攻め駒を与えると、渡した駒を右辺で使われ入玉されてしまうからです。
久夢流の自分の駒だけを使った基本的な入玉法を理解してもらうため、後手には動かずに待ってもらいましょう。
さて先手は第14図から▲3五歩~▲同金~▲2四歩と棒金攻めを行います。
後手の△3四歩に対し、先手は▲2四歩(上記 第15図)と突きました。
上記 第15図*で後手が△3五歩*と金を取ると、▲2三歩成* △4一玉 ▲3三と*~▲2一飛成で飛車を成りめる先手優勢です。
よって後手は上記 第15図で△3五歩とは取れません。
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読みやすいよう、下記に第15図を再掲載して手を進めます。
さて、先手の一の矢の棒金攻めを受ける後手ですが…?
【再掲載 第15図は61手目▲2四歩まで】
しばらくは先手の攻めを受ける展開に。
△同歩 ▲同金 △同銀 ▲同飛
△3三金 ▲2九飛 △2六歩(第16図)≫
≫の付いた青文字を押すと動く盤面で再生。↑
【第16図は68手目△2六歩まで】
後手も2筋から切り返す最善の返し。
先手の棒金からの▲2四同飛に、後手は△3三金と上がります。
この△3三金に代えて*、△2三歩*だと▲2九飛 △3三金 ▲2五銀*と進み、本手順のような反発力がなく後手不満です。
よって後手は本譜の▲2四同飛に△3三金~△2六歩(上記 第16図)と進みました。
この上記 第16図の△2六歩*の狙いは、上図から先手が▲3五歩* △同歩 ▲同銀*と出てきた時に△同角 ▲同角* △3六歩* ▲同玉 △2七銀* ▲4七玉 △3六金!*(下記 変化A図)が狙いです。
【変化A図は78手目△3六金まで】
王手角取り&上部が広く後手入玉模様。
この△3六歩~△2七銀~△3六金!(上記 変化A図)は、ここからしばらく先手につきまとう変化なので頭に入れておきましょう。
こうなると逆に後手が入玉模様となり、先手敗勢となります。
この変化を見てわかる通り、互いの玉頭の空間の奪い合いをしており、まるで囲碁のような陣取り合戦をしているようです。
「囲碁のような将棋」という言葉は何も間違っておらず、先手と後手は"ある地点"に自分の駒を置いて制圧する事を主眼に置いています。
その"ある地点"については、次の変化で語るので手を進めましょう。
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◇(68手目)久夢流が制圧したい"ある地点"の話。
下記へ第16図を再掲載して局面を進めます。
【再掲載 第16図は68手目△2六歩まで】
先手は単純な棒銀攻めでは上手くいかない。
▲3六銀!(第17図)≫
≫の付いた青文字を押すと↑動く盤面で再生。
【第17図は69手目▲3六銀まで】
後手の△2七銀を消し、次に▲3五歩狙い。
この上記 第17図の▲3六銀!が急所。
先手はこれで上記 第17図*から、次に▲3五歩* △同歩 ▲同銀左* △同角 ▲同銀*(下記 変化B1図)と進んで"ある地点"へ銀を置く事が狙いです。
【変化B1図は▲3五同銀まで】
ある地点とは…「3五」の地点。
「間宮久夢流」が制圧したい地点…。
それは3五の地点です。
この話はとても長くなりますので、詳しくは下記の別ページで解説しましょう。
△久夢流『3五・3七の危険地帯』の解説
◎関連記事 ⇒ "ある地点"の正体は?久夢流の『3五・3七の危険地帯』の解説。
そう…!
『間宮久夢流』とは、玉の上部「3五地点・3七地点」*を制圧し、そこを中心に地を広げて敵陣へ自玉を送り込む戦法なのです。
この2つの地点に自分の駒を置けた方が、敵陣へ玉を入玉させることができます。
ここから50手以上も右辺の戦いが続きますが、実はお互いやっている事は単純で「3五地点・3七地点」に自分の駒を置いて制圧しようとしているだけなのでした。
・先手は3五地点・3七地点を制圧し、相手の駒をこの地点へ置かせないようにする。
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◇(69手目)これから始まる長い「危険地帯」の奪い合い。相手の角を封じる必殺の手筋『▲4四歩!』
読みやすいよう、下記に第17図を再掲載して解説を進めます。
既にあなたは、この将棋の見るべきポイントをもう理解しています。
「3五・3七地点の"危険地帯"を相手より先に奪い取る。」
これより先手と後手はこの地点を取るため、右辺に可能な限りの駒を投入する総力戦となるのですが、
この"デンジャラスゾーン"に自分の駒を置く事ができるのは果たしてどちらなのか?
【再掲載 第17図は69手目▲3六銀まで】
これより50手以上続く陣取り合戦が開始。
△2四金 ▲2三歩!(第18図)≫
≫の付いた青文字を押すと動く盤面で再生。↑
【第18図は71手目▲2三歩まで】
2つの意味がある歩打ち。
というわけで、
後手は危険地帯の「3五地点」へ先手の駒を進出させないよう△2四金と出ます。
この△2四金*に対し、先手が▲3五歩*だと△同歩 ▲同銀左 △同金 ▲同銀 △3六歩!*で、第16図の時に解説した変化(クリックで第16図の変化へ移動。)と同じような変化になり後手勝勢となります。
後手の△2六歩が存在していると、常にこの△3六歩*から△2七銀*~△3六金*と返される筋があります。
よって先手はしばらくこの2六の歩を処理する事を考えつつ、3五の地点を狙う事になります。
それを実現する手が▲2三歩!(下記 再掲載 第18図)です。
【再掲載 第18図は71手目▲2三歩まで】
この▲2三歩の意味はなんだろうか?
この手の意味は2つあり、
1:「後手が歩を取らなければ、将来▲2六飛*と2筋突破をした時に▲2二歩成*のと金作りを狙う。」
2:「後手に△同金と取らせる事で、後手の金を後ろへ下げる。」
基本的に後手は2三の歩を取るので、2が本線となります。
【再掲載 第18図は71手目▲2三歩まで】
ここで△同玉の変化は?
ちなみに上記 第18図の▲2三歩*に、△同玉*と取るのは「▲4四歩!」*(下記変化E1図)があります。
【変化E図は73手目▲4四歩まで】
後手の角筋を止めて3五地点を狙う必殺手筋。
以下上記 変化E図*から△同歩* ▲3五歩* △同歩 ▲同銀左 △同金 ▲同角* △3二玉 ▲2六飛* △3四銀 ▲2五金* △3五銀 ▲同金*(下記 変化E結果図)…と、
【変化E結果図は85手目▲3五金まで】
3五地点を制圧し、先手入玉模様。
後手玉を2三の危地へ呼んで攻める事で、先手は手番を握りつつ3五地点を制圧する事ができます。
途中の▲4四歩*が後手の角筋を止めて、相手の3五地点の駒の利きを減らす久夢流の大事な手筋。
今回の本譜では登場しない手だが、頭に入れておこう。
というわけで、変化手順でも「3五」の危険地帯を押さえる事で先手が優位に立ちました。
・3五地点へ利いている相手の△5三角を止める、必殺の▲4四歩!
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◇(71手目)二の矢の引き角棒銀攻め!まずは2六地点の歩を消す。さらに先手は「3七の危険地帯」も消す。
では本手順に戻りましょう。
下記に第18図を再掲載して、手を進めます。
【再掲載 第18図は71手目▲2三歩まで】
さぁここから先手の棒銀攻めが始まる。
△同金 ▲3五歩 △同歩 ▲同銀左
△同角 ▲同角 △3四金打 ▲2六角
(第19図)≫
↑≫の付いた青文字を押すと動く盤面で再生。
【第19図は79手目▲2六角まで】
まずは2六の歩を消す事に成功。
後手の△2三同金に、
先手は▲3五歩から第二の仕掛け「引き角棒銀」を狙います。
以下△同歩 ▲同銀左に△同角!と思い切って角銀交換から、▲同角に△3四金打!で先手に3五地点を簡単に駒を置かせないようにします。
これには先手も▲2六角(上記 第19図)と引いて、目の上のたんこぶだった2六の歩を取りました。
ここまでの後手の手順からは「3五地点を先手に取らせない。」という意思が伝わってきます。
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では第19図を下記へ再掲載し、さらに手を進めましょう。
【再掲載 第19図は79手目▲2六角まで】
△3四金から後手は3五地点を狙うが…?
△2五歩 ▲同銀 △3五歩 ▲3六歩!
△2五金 ▲同桂 △2四銀 ▲3五角
(第20図)≫
↑≫の付いた青文字を押すと動く盤面で再生。
【第20図は87手目▲3五角まで】
何気ないが3七の桂を消した事が大きい。
後手は△2五歩~△3五歩から3六地点を狙ってきますが、
先手はそこへ駒を打たさないよう▲3六歩!と駒を埋めて対抗します。
以下2筋で銀金交換が起こり、上記 再掲載 第20図まで進みました。
この上記 再掲載 第20図までの手順で言うべき事はほとんどありませんが
一つだけ先手が得した事があります。
それは「3七から自分の桂馬がいなくなった」事です。(下記 再掲載 第20図参照。)
【再掲載 第20図は87手目▲3五角まで】
3七に桂がいなくなり、何が変わったのか?
3七に自分の桂馬がいなくなったので、もう後手からの△3六歩*が生じなくなります。
他にも自ら3七地点に▲3七金・▲3七銀と打ってしまえば、今まで危険地帯だった3七地点が逆に安全圏となります。
先手の▲3七桂は、序盤では4五の位を取るための大事な「守り駒」だったのですが
攻撃陣を完成させた後だと逆に相手から狙われる「傷」になっているのですね。
何気ないのですが、
▲3七桂を損せず交換できれば
後手が狙いたかった「傷」の地点が一つなくなったので、先手の入玉がぽつぽつと見えてきます。
と言っても…
これを実戦で意識して指そうとすると他の手に支障が出るので
「戦いの中で駒損なく3七の桂を跳ねる事ができたら、少し得をしたんだなぁ。」と思っておくぐらいで大丈夫です。
【危険地帯図2】
桂がいないので3七を守りやすい。
・▲3七桂がいなくなれば「3七の危険ゾーン」を後手から狙われにくくなる。
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◇(87手目)▲3五歩~▲3四歩と3筋の歩を伸ばし「3五地点」制圧の下準備ができたが…。
第21図を下記へ再掲載して手順を進めましょう。
すでに87手目ですが、まだしばらく3五地点争奪戦は続きます。
【再掲載 第20図は87手目▲3五角まで】
まだまだ続く3五の陣取り合戦。
△同銀 ▲同歩 △2四歩 ▲3四銀
△同金 ▲同歩 △2五歩 ▲2四角
(第21図)≫
↑≫の付いた青文字を押すと動く盤面で再生。
【第21図は95手目▲2四角まで】
歩を3四まで伸ばし、陣地ができてきた。
先手は第20図の△同銀に▲3五同歩と伸ばし、3五地点へ自分の歩を置く事ができました。
後手の△2四歩に、先手は▲3四銀~▲同歩と3四地点へ歩を進め、ようやく先手玉が広くなってきました。
ただし先手の▲3四歩の下に位を確保する駒がないので、まだ入玉が確定したわけではありません。
先手は広い陣地を確保できたので
ここから「後手玉へ詰めろをかけつつ、3五地点に自分の金銀を置く」第二の戦いが始まります。
さて上記 再掲載 第20図の▲2四角*から、次に先手は▲3三金* △同桂 ▲同歩成* △4一玉 ▲4二金 △同金 ▲同と*までの詰みを狙っています。
このように局面が進んでくると、
相手玉に即詰みの変化も生じて来るので「詰ますぞ」と圧力をかけて相手に入玉阻止の手を指させない手筋が出てきます。
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読みやすいよう、下記へ第21図を再掲載して棋譜を進めます。
後手は詰みがあるので、ここは流石に受ける事になりますが…?
【再掲載 第21図は95手目▲2四角まで】
後手は受けないと詰む。さぁどうする?
△4二角 ▲6八角!△2三銀 ▲3五金!
△2四銀打 ▲3六金打 △3五銀 ▲同金
(第22図)≫
↑≫の付いた青文字を押すと動く盤面で再生。
【第22図は103手目▲同金まで】
金・金の連打で3五地点を死守。
後手の△4二角に、先手は▲6八角!と引きます。
これは後手の持ち駒の角を盤上に打たせる事で、打たせた相手の角を狙いながら入玉する狙いです。(後の手順で意味がわかるため解説は割愛。)
先手の▲6八角*に対し後手が何もしなければ、先手は▲2三歩* △1三銀 ▲2五飛*として2筋を突破する狙いです。
なので後手は△2三銀と打ちますが、先手は▲3五金!*と打って次に▲2四歩を狙います。
それを防ぐために後手は△2四銀打*と受けてきます。(ちなみにここで▲3三金* △同桂に▲2四金 △同銀 ▲同角*と攻める手は、△2三金*と受けられた時に後手の持ち駒が金なので少し損。)
対する先手も一度▲3六金打と打ち、3五地点を死守します。
しかしこれには以下△3五銀 ▲同金(下記 第22図)と進んで、銀金交換となり一見先手が駒損をしたように見えますが…。
【再掲載 第22図は103手目▲同金まで】
一見先手が駒損をしたようだが、実は…?
ですが…実はこれこそが先手の狙いで、数手後…後手へ渡した金を取り返してしまいます。
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第22図を下記へ再掲載して進めましょう。
ここから先手の次なる攻めが始まります。
やはり「3五地点」を狙う事は変わりません。
【再掲載 第22図は103手目▲同金まで】
これから3三地点を攻めるが、狙いは3五。
△2四金 ▲3三銀! △同桂 ▲2四金
△同銀 ▲同角 △2三金(第23図)≫
≫の付いた青文字を押すと動く盤面で再生。↑
【第23図は110手目△2三金まで】
さっき先手が渡した金を取り返した。
後手△2四金の受けに、先手は▲3三銀!と打ちます。
後手に△同桂と取らせる事で、△4二角の2四への利きを止めてしまいます。
以下▲2四金で先程渡した金を取り返し、△同銀 ▲同角に△2三金(上記 第23図)まで進みました。
後手の持ち駒に金を持たせないよう、先手は繊細な手順を披露します。
入玉とは一見大胆な戦術に思えますが、実はこのようなギリギリのバランス感覚が何よりも大事なのです。
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局面を進めるため、第23図を下記へ再掲載します。
後手は3三地点の頭上を狙われ、先手にペースを握られているようですが
ここから巻き返しを見せてきます。
【再掲載 第23図は110手目△2三金まで】
後手もそう簡単には折れない。
▲3三歩成 △同角 ▲6八角 △3四歩
(ハイライト図)≫
↑≫の付いた青文字を押すと動く盤面で再生。
【ハイライト図は114手目△3四歩まで】
△3四歩と打ち、3五地点を奪い返…。
先手の▲3三歩成に△同角と取られ、ここで少し悩む事になります。
途中の△同角*に▲同角成*は△同金*と取られ、後手の3三に残る駒が厚い金になるので先手不満です。
なので先手は▲6八角と引きますが、後手は△3四歩(上記 ハイライト図)と歩を打ってきました。
上記 ハイライト図では、後手に「△3五桂」と打たれる筋が見えています。
後手に△3四歩(上記 ハイライト図)と打たれてしまったせいで、先手は3五地点に駒が打てなくなってしまいました。
…長かった3五の奪い合いでしたが、どうやらこの△3四歩でようやく後手側に軍配が上がったようです。
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下記 再掲載 ハイライト図から変化を解説すると
【再掲載 ハイライト図は114手目△3四歩まで】
ここで▲3六銀・▲3六歩の変化は?
上記 ハイライト図*から▲3六銀*は、以下△3五桂* ▲5八玉* △5五歩 ▲2四銀 △3八銀 ▲2六飛* △2七銀成*と進み、後に後手玉を崩せる先手有利の局面…なのですが入玉できません。
他に上記 ハイライト図*から▲3六歩*は、以下△2四角* ▲4六銀 △2六桂 ▲3七金 △5五歩 ▲2七歩* △3八銀* ▲同金 △同桂成 ▲同玉*…で、ここから頑張れば先手は何とか入玉できそうですが 玉が二段目にいるので「次善手」です。
というわけで、上記 ハイライト図の△3四歩はなかなかの手で後手が盛り返したように見えますが…
本当の事を言うと、この局面こそ入玉戦法「間宮久夢流」が目指していた局面だったのです。
ここからたった一手で、今まで危険地帯だった「3五地点」に自分の歩を置いて確定地にさせてしまいます。
その驚愕の一手とは!?
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◇(114手目 ハイライトシーン)『敵の打ちたいところに打て』3五地点を奪い取る『継ぎ歩』の手筋!
ハイライト図を下記へ再掲載して手を進めましょう。
【再掲載 ハイライト図は114手目△3四歩まで】
長きに渡る3五争奪戦に終止符を打つ。
▲3五歩!(ハイライト図)≫
≫の付いた青文字を押すと↑動く盤面で再生。
【第24図は115手目▲3五歩まで】
敵の打ちたい場所に歩を"置いた!"
ポンッと3五地点へ持ち駒の歩を置きました。
この上記 第24図の▲3五歩!が、今まで50手以上も続いた3五争奪戦にケリをつけた一手なのです。
当然ですが、
先手の歩が3五にあるため、上記 第24図で後手が△3五桂と打つ事は物理的に不可能です。
他に上記 第24図*で△2四角*も▲3六桂* △3五角 ▲同角 △同歩 ▲2四歩* △1三金 ▲2五飛* △3六歩 ▲3四銀!*…で、3筋を制圧しつつ次に▲2三歩成の突破がある先手の入玉模様で優勢です。
この変化でも、先ほどのハイライト図で問題となった△3五桂・△2四角の両方に対策が用意できています。
3五地点に相手の駒を打たせず、相手の△2四角も自陣に通さない…。
双方の手に返し技を用意できているため、この▲3五歩!(上記 第24図)こそがハイライトシーンでの最善手なのでした。
…しかし、これだけではまだ「3五地点へ相手に駒を打たせない」だけの手です。
次の継続手をもって、ようやく3五地点を自分の物にできるのです。
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では、下記へ第24図を再掲載して手順を進めましょう。
3五の急所を自分の物にする、先手のとっておきの一手とは?
皆さんも知る、あの有名かつ"居飛車の基本手筋"です。
【再掲載 第24図は115手目▲3五歩まで】
3五地点を奪う決め手!"基本手筋"
△同歩 ▲3六歩!(第25図)≫
≫の付いた青文字を押すと動く盤面で再生。↑
【第25図は117手目▲3六歩まで】
3五~3六に二度歩を打つ"継ぎ歩"の手筋。
後手の△同歩に▲3六歩!(上記 第25図)の継ぎ歩が決め手となります。
この手順が大事で、相手は3五に自分の駒があるためどうやっても△3五桂と打つタイミングがありません。
先手は上記 第25図*で次に▲3五歩*と伸ばす手があり、こうなれば▲3四銀で、先手は3五地点を自分の物にできます。
さらに上記 第25図*で、後手が△同歩*なら、以下▲3五桂* △2四金 ▲3四歩*が厳しい手となります。
そんなわけで、後手はこの▲3五歩~▲3六歩の継ぎ歩の手筋に対して取る事もできず、放置をしても先手に3筋を制圧されてしまうので、後手は打つ手がありません。
ようやく先手は、この延々と続いた「3五地点争奪戦」を制する事ができたのです。
そして「3五地点」を奪う決め手は「▲3五歩~▲3六歩」の継ぎ歩の手筋になる事が多いのでしっかり心得ておきましょう。
・3五地点を奪う決め手は「▲3五歩~▲3六歩」の継ぎ歩の手筋!
…何気ないのですが、後手の角を盤上に打たせているのも大きく、先手が▲3五歩と伸ばした後に△3三角が狙われる駒になっています。
途中の第20図~第21図の95手目▲2四角* △4二角 ▲6八角*が、この局面になって生きている事がわかりますね。
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◇(119手目)先手が3五地点を制し、後は入玉!崖っぷちの後手の猛攻だが…ここで現れる『もう一つの入玉ルート』
では第25図を再掲載し、手を進めましょう。
後手は先手からの次の▲3五歩を受ける事ができません。
よってここから、別方面で手を作って暴れて来ます。
【再掲載 第25図は119手目▲3六歩まで】
後手はもう▲3五歩を阻止できない。
△5五歩 ▲3五歩 △5六歩 ▲同銀
△6六角 ▲2四歩 △同金 ▲3六桂
(第26図)≫
↑≫の付いた青文字を押すと動く盤面で再生。
【第26図は125手目▲3六桂まで】
後手は△5五歩~△6六角で暴れる。
追い詰められた後手は△5五歩~△5六歩~△6六角で、角を左辺から使って攻めてきます。
対する先手は▲3五歩と伸ばし、念願の3五地点を手に入れることができました。
あとは右辺の厚みを生かして入玉をするだけなのですが…、ここからの後手の猛攻も激しく容易に入玉できません。
…少し早いのですが、先に結論を言うと「先手は右辺から入玉をするよりも、もう一つの入玉ルートを使って入玉をする」作戦が有力になり、そちらのルートの方が楽に敵陣へ入る事ができます。
この状況で突如「もう一つの入力ルート」の存在が明らかになり、読者のあなたも驚いていることでしょう。
長くなりますが、もうしばらくお付き合いください。
入玉ってとにかく長いんです。
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読みやすいよう、下に第26図を再掲載します。
【再掲載 第26図は125手目▲3六桂まで】
「もう一つの入玉ルート」とは?
△1四金 ▲6七金 △5五桂 ▲同銀
△同角 ▲5六歩 △2八銀(第27図)≫
≫の付いた青文字を押すと動く盤面で再生。↑
【第27図は132手目△2八銀まで】
ここで後手の強手!飛車がピンチに。
後手は第26図から一先ず△1四金と逃げ、先手の▲6七金に△5五桂と打ってきます。
この△5五桂は大事な手で、ここで代えて先手の▲6七金*に△9三角*と逃げるような手だと、以下▲4四歩*~▲3四歩*から上部開拓を狙って先手優勢となります。
なので後手は△5五桂と打って、▲同銀 △同角 ▲5六歩に△2八銀!(上記 第27図)と一歩も引かずに先手の飛車取りを狙う返し技を放ってきます。
この上記 第27図の△2八銀*に▲7九飛*だと△3七角成 ▲5八玉 △4七銀 ▲6九玉 △3六馬*で先手は桂損&挙句に入玉も阻止され、逆に後手が入玉を狙えそうです。
流石にこれは先手勝ち目がないので、この上記 第27図で先手は飛車を逃げる以外の手を指さなければなりません。
つまり…後手に飛車を渡す事を覚悟し「後手が先手陣に飛車を打ってくるタイミングで玉を上部へ逃げて入玉できる状況」を作る必要があります。
このタイミングが後手にとってもギリギリの局面で、
仮に先手に▲3四歩(下記 参考E図)の一手が入っていれば、
後手が先手陣へ飛車を打ち込んでも上部が広く軽々と入玉できてしまいます。
【参考E図は△2八銀まで】
仮に3四に歩が伸びていれば上部が広い。
手順は省略しますが、上記 参考E図から手が進んで
下記のように△4九飛と打たれても、4八に駒を打って(下記 参考E結果図)問題ありません。
【参考E結果図は▲4八桂まで】
3三を攻めて上部開拓でき、玉が広い。
先手は▲3四歩まで歩が伸びていれば、後手玉を攻めつつ▲3三歩成とと金を作る事ができるので
玉が広くなり、相手からの下段飛車は脅威になりません。
しかし下記の再掲載 第27図は▲3四歩と伸びておらずギリギリの状況です。
【再掲載 第27図は132手目△2八銀まで】
まだ▲3四歩と伸びていない。やや危険。
後手としてもこの上記 再掲載 第27図はスレスレの状況で、先手の完全なる入玉を許す一歩手前の局面なのです。
というわけで、この後手の上記 △2八銀に対し先手はどうやって入玉できる状況を作るかなのですが…。
実は▲3四歩と伸びていないので、先手は右辺から入るには一手間に合っていないのです。
一見困った局面のように思えますが、
ここで登場するのが「もう一つの入玉ルート」なのです。
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では第27図を再掲載し、手を進めましょう。
【再掲載 第27図は132手目△2八銀まで】
右が駄目なら…。どう"道を作る"のか?
▲4四桂打 △同歩 ▲5五歩 △2九銀成
▲4四桂 △4二玉 ▲3四角 △4三銀
(第28図)≫
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【第28図は141手目△4三銀まで】
先手は急に仕掛けに入った。その真意は?
突然先手は▲4四桂打 △同歩の交換を入れ、▲5五歩と角を取ります。
後手に飛車を取られる事を受け入れ、先手は▲4四桂~▲3四角!と後手玉へ詰めろをかけました。
先手の▲3四角*は、次に▲3二金 △5三玉(△5一玉) ▲5二角成*までの詰みを狙っています。
よって後手はそれを受けるために△4三銀(上記 第28図)と受ける一手です。
この△4三銀に代えて、▲3四角*に対し△2七飛*だと▲3七金*。
他に▲3四角*に△4九飛*だと▲5八玉*で飛車取りで返され、打った飛車が逃げると後手玉は即詰みに打ち取られます。
後手は飛車を手にしましたが、まだそれを使って攻めるタイミングが来ていません。
そして先手の真の狙いは…後手玉を詰ませる事ではなく
「相手に持ち駒の銀を使わせながら」
「『もう一つの入玉ルート』に必要な"ある地点"に自分の駒を利かせる事」が狙いなのです。
大変難しい注文をしているようですが、ここからたった7手でその条件が整います。
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◇(141手目)『もう一つの入玉ルート』とは?▲5七玉~▲6六玉と入る左辺からの抜け道!
では下記に第28図を再掲載して局面を進めます。
【再掲載 第28図は141手目△4三銀まで】
もう一つの要の地点とはどこなのか?
▲3二金 △5三玉 ▲5二桂成 △同玉
▲4一銀 △6二玉 ▲4三角成!
(第29図)≫
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【第29図は147手目▲4三角成まで】
要の"6五地点"へ馬を利かせた!
というわけで、先手は後手玉に王手をかけつつ▲4三角成!(上記 第29図)として6五地点へ馬を利かせる事に成功しました。
この6五地点が「もう一つの入玉ルート」の要の地点だったのです。
どういう事だ?と思っているでしょう。
次のポイントを解説させてもらいましょう。
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タネを明かすと「もう一つの入玉ルート」とは…▲5七玉~▲6六玉と左辺から敵陣へ入るコースの事です。(下記 仮想入玉1図)
【仮想入玉1図は▲6五歩まで】
左辺から入るルート。▲6六玉を狙う。
この局面は▲6五歩(上記 仮想入玉1図)と突いており、
本譜の盤面と少し違いますが、「もう一つの入玉ルート」の基本となる形なのでお付き合いくださいませ。
この上記 仮想入玉1図の▲6五歩は久夢流の実戦で頻出する形で、後手の△6四銀・△7三桂を責めつつ▲6六玉を狙う好手です。
もしも上記 仮想入玉1図*で△同桂*なら▲同桂 △同銀*となった後、後手陣へ攻めた後に▲6六歩*と打って銀を殺せます。
なので後手は上記 仮想入玉1図の▲6五歩に△同桂と取り辛いのです。
この▲6五歩(下記 再掲載 仮想入玉1図)は非常に実用度の高い一手ですので、覚えておきましょう。
【再掲載 仮想入玉1図は▲6五歩まで】
▲6五歩は頻出する一手。覚えておこう。
よって上記 再掲載 仮想入玉1図からは△3八飛に▲6六玉(下記 仮想入玉2図)と進み、四段目に玉を上がって安定させてしまいました。
【仮想入玉2図は▲6六玉まで】
飛車打ちに▲6六玉!天空城!?
飛車打ちに対し▲6六玉(上記 仮想入玉2図)もよく登場する手で、
相手の打った飛車をたった一手で無駄にする事ができる久夢流ならではの手筋です。
上記 仮想入玉2図*は既に入玉模様の局面となっており、以下△3七飛成 ▲6八角に△5三銀なら▲7五歩!*と突いて薄い7筋から玉を入る事ができます。
よって上記 仮想2図から△3七飛成 ▲6八角 △6五桂 ▲同桂(下記 仮想入玉3図)と進んで上部を開拓していきます。
【仮想入玉3図は▲同桂まで】
以下長くなるが、玉が広く盤石。
上記 仮想入玉3図*から、先手は▲7三銀の上部開拓を狙っており先手入玉模様です。
(それを受けるために△6二金*だが、以下▲7三桂打*から攻める。)
もしも上記 仮想入玉3図*で△同銀*なら▲同玉 △5三桂 ▲7四玉 △6二金 ▲8三銀*が一例で左辺から玉を入る事ができます。
仮に入玉が狙えずとも上記 仮想入玉3図から▲7七玉と逃げる手が思った以上に広く、玉を逃げている間に後手玉を詰まして勝つこともできます。
というわけで、
この▲5七玉~▲6六玉のルートこそが「もう一つの入玉ルート」であり、
それをどんな形でも狙えるようにするため、先手は常に中段玉の▲4七玉型をキープしていたのでした。
・「もう一つの入玉ルート」とは、左辺から入る▲5七玉~▲6六玉のコース。
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◇(147手目)入玉を決めるための切り札!『王手&詰めろで手番と空間を強奪!』
さて少し長くなってしまいましたが、下記へ第29図を再掲載して話をまとめましょう。
【再掲載 第29図は147手目▲4三角成まで】
▲6六玉が「もう一つの入玉ルート」だ!
そんなわけで上記 再掲載 第29図での先手の方針が見えてきたでしょう。
先手は上記 再掲載 第29図から
▲6五歩と打って後手の銀を△5三銀と引かせて、▲5六玉(▲5七玉)~▲6六玉としたいのです。
ですが実際にそれを狙うには、先手陣の形が乱されており手番的にも余裕がありません。
よって間に合わせの策として、先手は▲4三角成!と馬を作って6五地点へ駒を利かせたのでした。
では、手を進めるために第29図を下に再掲載しましょう。
これより後手は持ち駒の飛車を使って、先手玉へ迫ってきます。
しかし先程作り上げた「左辺への入玉ルート」が存在するため、もう怖くありません。
【再掲載 第29図は147手目▲4三角成まで】
後手は△4九飛から迫ってくるが…。
△4九飛 ▲5七玉! △6五桂打 ▲同桂
△同桂 ▲5六玉!(第30図)≫
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【第30図は153手目▲5六玉まで】
唯一の活路。▲5六玉!
後手は△4九飛と打って王手をかけますが、それには先手▲5七玉!と意地でも中段玉をキープします。
▲5七玉の所、▲5八玉と逃げて逆に飛車取りをかける手もありますが、そんな手は本譜よりも入玉みが少ないので解説する必要はありません。
というわけで本譜の▲5七玉に△6五桂打 ▲同桂 △同桂 ▲5六玉!(上記 第30図)と前へ玉を出るのが久夢流の狙いです。
ここから綱渡りのような変化になりますが、これより「久夢流の切り札」が登場します。
【再掲載 第30図は153手目▲5六玉まで】
ここで△4六歩の詰めろの変化。
その前にまず後手の変化で、上記 第30図*から△4六歩*の詰めろには▲7四金!*と打って詰めろを解消しつつ後手玉を縛って先手入玉勝ちとなります。
(以下△4七飛成*には、▲6六玉*~▲5二馬* △7一玉 ▲6三馬*…で上部が広く後手勝てない。)
当然ですが、後手玉は王手がかかる危険な形なので安易に攻める事ができないのです。
一方先手は、
再掲載 上記 第30図で盤上の△6四銀を消す事ができれば、▲6五玉と出て入玉できるので
「後手玉へ王手をかけつつ△6四銀を消す」方針で、ここから指す事になります。
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読みやすいよう、下記へ第30図を再掲載します。
【再掲載 第30図は153手目▲5六玉まで】
後手、まずは自玉を安全にしたいが…。
△7三玉 ▲7五桂 △7一桂打 ▲5三銀
△7二桂 ▲5二銀引不成(第31図)≫
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【第31図は159手目▲5二銀引不成まで】
ここまでの手順、詰めろが一つもない。
後手は△7三玉として、先手の▲7四金を消して自玉を受けます。
なので先手は猶更「△6四銀を取る」入玉狙いでいく事になります。
それが▲7五桂~▲5三銀~▲5二銀引不成(上記 第31図)です。
全て6三地点に成駒を作ってから6四の銀を取ってしまう狙いです。
…というわけで、最後の▲5二銀引不成(上記 第31図)で後手が6三地点を受ける駒がなくなりました。
(上記 第31図*以下、▲6三桂成* △同桂 ▲同銀成* △同玉 ▲5二馬 △7三玉 ▲7四金* △8二玉 ▲6四銀成* △同桂 ▲6五玉*…。)
ようやく先手の入玉が見えてきました。
…実はここまで一切後手玉への詰めろがなく、
終始「後手玉へ王手をかけつつ△6四銀を取るぞ」という手のみです。
これが久夢流の終盤の切り札で「敵玉へ王手&詰めろをかける事で、相手に入玉を防ぐ手を指させない。」テクニックなのです。
もう将棋というゲームの根幹を揺るがしそうな異次元のテクニックですが、実際そういう局面なのだからしょうがありません。
・敵玉へ王手&詰めろをかけて受けさせる事で、相手に入玉を防ぐ手を指させない。
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◇(159手目)ようやく見えてきた入玉!入玉の基本『駒損よりも入玉!』
では下記に第31図を再掲載して、手を進めましょう。
長い、疲れた、もう159手…と思っている方もいるでしょうが、
手数的には久夢流の将棋の中では短い方なので「長手数すぎてもう無理だ」と思った方は諦めて他の戦法を指すべきでしょう。
(本当にこの戦法は体力が必要なので、体の弱い方にはオススメできません。)
【再掲載 第31図は159手目▲5二銀引不成まで】
後手はもう6三地点を受ける事ができない。
△8四玉 ▲6三桂成 △同桂 ▲同銀成
(第32図)≫
↑≫の付いた青文字を押すと動く盤面で再生。
【第32図は163手目▲同銀成まで】
次に▲6四成銀~▲6五玉で入玉!
観念した後手は△8四玉と逃げました。
先手は当然▲6三桂成~▲同銀成で6三地点へ成駒を作ります。
これで次に▲6四成銀~▲6五玉で後手陣への入玉が見えてきました!
さぁもうゴールは間近!
下記の再掲載 第32図から手順を進めてみましょう。
【再掲載 第32図は163手目▲同銀成まで】
入玉間近!最後に気をつけるべきは…。
△6六歩 ▲同金 △4八飛成 ▲6四成銀!
△6八龍 ▲7三銀 △9四玉 ▲6五玉!
(結果図)≫
↑≫の付いた青文字を押すと動く盤面で再生。
【結果図は171手目▲6五玉まで】
次に▲6七歩~▲5四玉で安全勝ち。
後手は再掲載 第32図から△6六歩~△4八飛成として、先手の角を狙ってきます。
もしもこの△4八飛成*に▲4六角*と逃げると△7三桂打*と打たれ、6五からの入玉がすぐにできなくなります。(それでも▲4四歩~▲4五玉のルートがあるので大丈夫ですが。)
入玉将棋の鉄則として「駒損よりも入玉」という格言があります。(棋書『入玉大作戦』より。)
ここはその格言に基づき、角を見捨てて▲6四成銀!~▲6五玉!(上記 結果図)と入ってしまう手が正解です。
ちなみに途中の▲7三銀は入玉後の守り駒を作った意味で、△9四玉と後手玉を狭くしたのはついでです。
というわけで、
上記 結果図*からは先手▲6七歩*と打って▲6六金を取られないようにしてから、▲5四玉*と入ればもう後手は先手玉を詰ます事ができず勝つことができません。
・大駒を取られる事よりも入玉!駒の損得よりも玉の安全が大事。
…以上171手という長手数でしたが、これにて入玉戦法「間宮久夢流」の全てを解説しました。
え?ここまで来たら相手玉を詰ませるのでは?
いえいえ、本戦法はあくまで「敵陣に最強の囲いを作るための戦法」ですので
「ここまでが序盤戦」なのです。
よって戦法紹介記事の性質上、これ以降の解説は割愛させていただきます。
今回は最善を尽くし、たったの171手で終わりましたが
実戦ですと、相入玉の将棋になり200手~300手かかる事もあるのですから…。
(これ以上は記事が長くなりすぎて、誰もついてこられないので解説を打ち切らせて頂きます。)
最後に「間宮久夢流」中終盤の7つのポイントをまとめておきます。
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◆「間宮久夢流」中終盤編 7つのポイント まとめ
1:3五地点・3七地点には必ず自分の駒を利かせる。(下図参照。)
【再掲載 変化B1図は▲3五同銀まで】
3五・3七地点を自分の物にする事が狙い。
・「ポイント1:『久夢流が制圧したい"ある地点"の話』」の解説へ移動。
2:3五地点へ利いている相手の△5三角を止める、必殺の▲4四歩!(下図参照。)
【再掲載 変化E図は73手目▲4四歩まで】
相手の角筋を止めて3五地点を狙う必殺手筋。
・「ポイント2:『相手の角を封じる手筋 ▲4四歩!』」の解説へ移動。
3:▲3七桂がいなくなれば「3七の危険ゾーン」を相手から狙われにくくなる。(下図参照。)
【再掲載 第20図は87手目▲3五角まで】
自身の3七の桂が無くなり、隙が減った。
4:3五地点を奪う決め手は「▲3五歩~▲3六歩」の継ぎ歩の手筋!(下図参照。)
【再掲載 第24図は115手目▲3五歩まで】
敵の打ちたい場所に歩を置く決め手。
5:「もう一つの入玉ルート」とは、左辺から入る▲5七玉~▲6六玉のコース。(下図参照。)
【再掲載 仮想入玉2図は▲6六玉まで】
▲5七玉~▲6六玉!左側の別ルート。
6:敵玉へ王手&詰めろをかけて受けさせる事で、相手に入玉を防ぐ手を指させない。(下図参照。)
【再掲載 第31図は159手目▲5二銀引不成まで】
相手に王手をかけ、受けさせる間に入玉。
・「ポイント6:『王手&詰めろで手番を強奪』」の解説へ移動。
7:大駒を取られる事よりも入玉!駒の損得よりも玉の安全が大事。(下図参照。)
【再掲載 結果図は171手目▲6五玉まで】
角を見捨てて入玉!大駒よりも入玉。
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◆今回の記事の棋譜再生&kifファイルダウンロード
この記事で解説した棋譜を動かして再生できます。
さらに今回解説した記事を「解説付きkifファイル」でダウンロードできます
マイナー将棋ブログ 作『【第2回 誰も知らないマイナー戦法】三段玉からの入玉戦法!間宮久夢流 Part2.kif』はクリエイティブ・コモンズ 表示 4.0 国際 ライセンスで提供されています。
https://minorshogi.com/2st-minor-tactics-that-no-one-knows-part2/にある作品に基づいている。
▼kifファイルの再生方法▼ Androidの方は「Kifu for Android(無料版)」で再生する事ができます。 iPhoneの方は『kifu for iPone』で再生する事ができます。 |
◆『間宮久夢流』参考棋譜 3局
さらに今回は特別に『間宮久夢流』の参考棋譜を3局用意しています。
下記から動く盤面を使って再生できるので
久夢流の入玉までの手順を並べ、体得しましょう。
棋譜再生の上にある「『参考棋譜 〇局目』のハイライト」ボタンを押すと、
その将棋の見所を紹介します。
◇参考棋譜 1局目『▲8八玉型の咎め方』
◇参考棋譜 2局目『超理想形の5筋位取り久夢流』
◆第1回~第2回までの「間宮久夢流」記事一覧
◆次回の記事【第3回 誰も知らないマイナー戦法】26手で石田流崩壊!鏡の左早繰り銀「新xaby角」
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