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◆「飛車落ち上手3手目△5四歩戦法」とは?
皆さんは平手将棋はよく指されると思います。
しかし駒落ち将棋はあまり指されない、指したことがないという方は意外に多いのではないでしょうか?
リアル道場だと棋力向上、チェックのために駒落ち将棋を導入している所は結構あるという話を聞きます。
他にプロの指導対局などで駒落ちで教えてもらう事もよくありますね。
よく見かける手合いだと、よくあるのが二枚落ちですが、今回は飛車落ちの新戦法、しかも上手側の新たな指し方を紹介したいと思います。
それが「飛車落ち上手3手目△5四歩戦法」(下図)です。
【飛車落ち3手目△5四歩戦法】
3手目に5筋を伸ばす。上手の狙いは一体?
見ての通り、飛車落ちの上手で3手目に△5四歩と突く指し方です。
飛車落ちは基本的に3手目△4四歩と角道を止めて雁木に組んで下手の右四間を受けて立つのが定跡です。
実際それでも上手側には紛れさせる手段は多く、下手側としても相当な知識がないと勝ちきれません。
しかし下手側が飛車落ち定跡を勉強を積んで定跡をマスターした場合、上手側はほとんど力を出せる事なく終わってしまいます。
そして基本的に飛車落ちは、下手の攻め対上手の受けという構図になりやすいのも特徴です。
上手の駒が少ないのが駒落ちなので、駒が少ない側が攻められるのはしょうがないのですが・・・。
そこで「せっかく上手に大駒の角があるのだから、それをもっと活用した指し方はできないのか?」と考えた人がいます。
またしてもGAVA角の急所のGAVAさん考案の新作戦です。
角使いと謳われたその角捌きは、平手だけに留まらずに駒落ちの飛車落ちにまで興味を注ぎました。
何とか「飛車落ちでも角を使いたい!」という想いが、この「飛車落ち3手目△5四歩戦法」を完成させたのです。
その威力は凄まじく、腕に自信のある低段者には負け知らずどころか、圧勝する始末。
この戦法の恐ろしさをとくと見せ付けられました。
何よりこの戦法は、他の飛車落ち定跡の「雁木型」や「お神酒指し」よりも伸び伸びと上手の角が使えるという事が大きいのです。
序盤に細かい注意や読みをかなり必要としますが、逆に言えば上手の力を出しやすい力戦の展開になりやすいということです。
飛車落ち上手を持って、下手と指す際に「なんとか定跡を外す事はできないか?」と悩まされる上手の方は、是非この戦法を使ってみてはどうでしょうか?
新たな発見が見つかるかもしれません。
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◆『飛車落ち上手3手目△5四歩戦法』kifファイルダウンロード
▽『飛車落ち上手3手目△5四歩戦法』解説付きkif、zipファイル ダウンロード▽ |
マイナー将棋ブログ 作『飛車落ち上手3手目△5四歩戦法.zip』はクリエイティブ・コモンズ 表示 4.0 国際 ライセンスで提供されています。
https://minorshogi.com/rook-handicap-match-54p-kif/にある作品に基づいている。
▼kifファイルの再生方法▼
ダウンロードしたkifファイルは「柿木の将棋ソフトウェア」のフリーソフト「kifu for windows」でパソコン上で再生する事ができます。
Androidの方は「Kifu for Android(無料版)」で再生する事ができます。
「Kifu for Android Pro(有料版)」を使うと、PC版用のコメント付kifが文字化けせずに読めるようになります。
iPhoneの方は『kifu for iPone』で再生する事ができます。
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◇ファイルの中身
飛車落ち上手の新戦法「3手目△5四歩」についての解説講座が6章分入った棋譜データ集です。
解説付きの実戦譜も6局入っていまので、実戦で下手がどう指すかも参考になるはずです。
◇目次
●第0章 前置き なぜ3手目△5四歩なのか?飛車落ち定跡雁木の不満
【飛車落ち右四間飛車定跡】
ここから▲4五歩と仕掛けて勝負。
そもそもGAVAさんは、何故「飛車落ち右四間飛車定跡」に不満を感じたのか?
それについての前知識の「右四間飛車定跡」を軽くおさらいして振り返ります。
上の飛車落ち右四間飛車定跡図の通り、下手は右四間飛車に構え、上手は雁木の形に構えています。
受けて立つ上手の姿勢は立派ですが、やはり受身という印象が強い形です。
他にも色々な感じていた不満点をまとめています。
実際に指してみると「右四間飛車定跡」は下手にとってかなり難しいのですが、それをあえて嫌った理由がわかると思います。
●第1章 下手馬作り型
【下手馬作り型】
次に△8五桂の攻めがあり上手作戦勝ち。
まずは「飛車落ち3手目△5四歩戦法」の一番手を飾るのは「下手馬作り型」です。
そう、この「飛車落ち3手目△5四歩戦法」に見た瞬間に指したくなる手が角交換からの▲5三角。
これで下手はあっさり有利・・・というのが平手の常識なのですが、実際に指してみると下手が大変なのです。
あえて下手に馬を作らせる事で、上手側は角を手持ちに自由度の高い駒組みをし、玉を四枚で囲い△8五桂や△6四角と打って攻めを狙うのが上の図です。(下手馬作り型図)
下手馬作り型図は、飛車落ち上手とは思えぬ玉の堅さとオフェンシブな布陣です。
既に上手作戦勝ち模様で、上手が主導権を握っています。
下手は「馬を作ったはずなのに何故か苦しい・・・」と不思議に思う事でしょう。
この形は上手の遭遇率が最も高い形なので、重点的に勉強をしておく必要があります。
他にも右玉型など指し方のバリエーションがあります。
●第2章 前置き お神酒指しについて
【お神酒指し戦法】
左右の金銀を御神酒に見立てた形。
第2章に入る前に「飛車落ち定跡」のもう一つの上手の戦法「お神酒指し」の紹介をします。
上手の攻めの形は、本編第二章で紹介する「下手角交換居飛車型」とほぼ同じで、攻めの思想がそのまま応用できます。
基本的に「お神酒指し」は中住まいにして攻める戦法です。
「お神酒指し」が具体的にどのような攻め筋を狙っているのか?について前知識として知っておく必要があるので紹介しました。
●第2章 下手角交換居飛車型
【下手角交換居飛車型】
次に△9七歩~△8五桂の端攻めを狙う。
次に来るのが本編第2章「下手角交換居飛車型」です。
上の下手角交換居飛車図を見ての通り、基本は「お神酒指し」のように9筋の端を中心に攻めるのですが、上手は玉を囲っている事と右金の動きをあえて保留しているところが大きな違いです。
これにより通常の「お神酒指し」より少しでも上手は得をしようという狙いです。
単なる攻めの指し方だけでなく、右金の動きを保留する事で「一手でも早い仕掛け」「陣形のバランス」「▲8二角問題」「中終盤での右金の活用」など、高度な知識や読みが必要となる戦型です。
上手の力と読みが相当必要とされますが、それだけの見返りも十分期待できる戦型です。
●第3章 上手5筋位取り型
【上手5筋位取り型】
5筋の位の効果で下手は角を使えない。
下手は「3手目△5四歩」には「角交換はまずいのでは?」と思い、居飛車の「矢倉引き角」で対抗してくる事もありえるでしょう。
それには上手△5五歩と位を取って大模様に構えるのが真の狙いです。(上手5筋位取り型図)
上の上手5筋位取り型図は上手の理想型です。
こうなると上手の角がよく使えており、逆に下手の角が使えていません。
飛車落ち上手の天敵の1つである「下手矢倉引き角」もこの戦法の前では全く怖くありません。
何故なら下手は引き角を使うための5筋の歩を突けていないからです。
この指し方は序盤から中盤の入り口にかけて色々細かい注意が必要ですが、それを乗り切れば作戦勝ちも望めます。
●第4章 下手振り飛車型
【下手振り飛車型】
上手の角と二枚銀で振り飛車を迎え撃つ。
「もう上手の角交換作戦にはこりごりだ!」と思った下手は次にマイペースに指そうと▲6六歩と角未知を止めて振り飛車を狙ってくることもあるかもしれません。
それこそが上手の最も待ち受けるところで、上の図が上手の理想の布陣の一つ「下手振り飛車型」への理想形です。(下手振り飛車型図)
上手は5筋の位を取り、そこから金銀をどんどんと押し出して位を確保していきます。
△6三銀・△5三銀の二枚銀の働きが良く、下手はかなり苦戦を強いられるでしょう。
そもそも下手から角道を止めるなんて事は上手としてはありがたく、角が伸び伸び使えます。
この振り飛車側を仕留めれば、もはや上手に怖いものはありません。
●第5章 下手石田流型
【下手石田流型】
角道を止めない石田流。△4五角で咎める。
第5章からは少々イレギュラーな指し方を紹介します。
まずは現代平手将棋のメジャーな振り飛車「対石田流三間飛車」への指し方です。
下手が角道を止めずに突っ張って石田流に振ってきた場合にはどうしたらいいか?
その具体的な指し方を紹介します。
基本的に乱戦模様になるので、上手の力が発揮しやすい戦型になります。
お互いの角が盤上に乱舞して、生き生きと暴れまわる将棋はとても華やかです。
●第6章 下手中飛車型
【下手中飛車型】
飛車落ちでも強力なゴキゲン中飛車。
最後の第6章を締めるのは、現代振り飛車の筆頭「ゴキゲン中飛車」です。
下手の「ゴキゲン中飛車」は、駒落ち将棋でも脅威な破壊力と恐れられ「上手泣かせの戦法」と言われています。
「飛車落ち3手目△5四歩戦法」は△5四歩を突いているため、下手は▲5六歩~▲5八飛と5筋をすぐに争点にできます。
それに対して「飛車落ち3手目△5四歩戦法」は真っ向から挑みます。
上の下手中飛車型図は何とか理想形に組んだ局面。
ここまで組めれば、少なくとも上手も一方的・・・という展開ではなさそうです。
強敵の「下手中飛車型」ですが、これを何とか撃退できれば上手は怖いものなしです。
上手は△4四歩と突かない事により、△4四銀という受けが生じているのがポイントです。
この全六章で「飛車落ち上手3手目△5四歩戦法」の紹介は終わりです。
参考として解説付き実戦譜も同梱しているので参考にしてください。
いかんせん駒落ち自体のサンプルが少ないので、未知数な部分もかなり多いです。
飛車落ちは「右四間飛車戦法」さえ覚えていれば何とかなる・・・と思っている下手にこの戦法で痛い目に合わせてやりましょう。
詳しい内容はダウンロードして自分の目で確かめてみましょう。
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◆『飛車落ち上手3手目△5四歩』ためし読み
英語名:Rook Handicap Match 3move 54-pawn
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