【第2回 誰も知らないマイナー戦法】70年前の幻の入玉戦法!「間宮久夢流」振り飛車型 Part1 駒組み編

 


 


 


◆【第2回 誰も知らないマイナー戦法】70年前の幻の入玉戦法「間宮久夢流」Part1

(*の付いた青色の文字*を押すと解説が表示されます。)

第1回(クリックで第1回の記事へ移動。)では、『左美濃伝説』という本でしか紹介されなかった戦法『▲7八金型天守閣囲い』*を紹介しました。
今ではあまり見ない▲8七玉型▲7八金!と上がる、誰も知らない三段玉戦法でした。


『誰も知らないマイナー戦法』関連記事

 


…が、この第2回ではそれを超える「三段玉から入玉を狙う面妖な戦法」をお見せします。
その名も…『間宮久夢流』(まみや きゅうむりゅう)。(下記 間宮久夢流図参照。)

【間宮久夢流図】
三段玉+棒金+引角斜め棒銀で敵陣へ入玉!

1940年代に昭和のプロ棋士 間宮純一(まみや じゅんいち)六段が考案した、
オリジナリティ溢れる戦法初手から敵陣への入玉を狙う戦法です。

「最も安全な場所は敵陣」という前代未聞の思想で、遮二無二に自玉を敵陣へ送り込む事を本気で実行し、なんと一つの戦法として成立させてしまったのです。

入玉して勝利を狙う戦法なんて…にわかには信じられないでしょう。

 


ちなみに、この間宮純一六段は間宮 久夢斎(まみや きゅうむさい)と言う名も名乗っており、その名の由来は

『久夢流の名の由来は、三段当時、容易に四段になれず、高段者は永久の夢と半ばあきらめていた心境をあらわしたものだ。』

 

・出版社:将棋天国社
『季刊 将棋天国 夏 第14号』《クリックで『商品紹介ページ』へ移動。》 (1980年7月10日発行)
P182「久夢流の模範局」より引用。

との事で、将棋だけでなく名乗る名にも独創性が溢れています。


 

さて今回紹介する、間宮純一六段が考案した戦法は今から70年前の1940年代に指された非常に古い戦法。
…ですが、当時の将棋雑誌でもほとんど解説されておらず、
この『間宮久夢流』を知る者は将棋の長い歴史の中でもほとんどいません。

当ブログが調べた限りでも
『1950年 近代将棋 6月号』(下記で紹介。)P42~P45で間宮六段自身が自局を紹介した記事と、
『季刊 将棋天国 夏 第14号』(クリックで『商品紹介ページ』へ移動。) P181~P182に掲載された「久夢流の模範局」の棋譜のみで、
この2022年現在でもその2冊以外『間宮久夢流』に触れた記事はありませんでした。

(ちなみに『1950年 近代将棋 6月号』は現在絶版ですが、
下記の『国立国会図書館 デジタルコレクション』でネット上から読む事ができるので、
本家間宮六段の解説を読みたい方は是非そちらをご覧ください。)


『国立国会図書館 デジタルコレクション』

●『国立国会図書館』トップページ(←クリックで外部サイトへ飛ぶ。)

●『国立国会図書館 デジタルコレクション』トップページ(←クリックで外部サイトへ飛ぶ。)


『国立国会図書館 デジタルコレクション』『近代将棋 1950年 6月号』

・『国立国会図書館 デジタルコレクション』『近代将棋 1950年 6月号』(←クリックで外部サイトへ飛ぶ。)


※ただし閲覧には『国立国会図書館 デジタルコレクション』の
「図書館向けデジタル化資料送信サービス」へ登録が必要となります。
・利用申し込みの紹介はこちら。
(クリックで外部サイト『図書館向けデジタル化資料送信サービス』利用方法紹介ページへ移動。)


 

この間宮流には、実は2つのバージョンがあります
「初手▲5六歩から始まる久夢流」「ノーマル振り飛車から始まる久夢流」。

今回紹介するのは『季刊 将棋天国 夏 第14号』で紹介された、2つ目の「ノーマル振り飛車から始まる久夢流」。
こちらの久夢流は初手▲5六歩型よりも安定感があり、初めて久夢流を指したい方にオススメする入玉入門用の戦法です。

今までは将棋雑誌・インターネットで一切解説される事のなかった幻の戦法『間宮久夢流』ですが
資料を入手しましたので、ついにこの『誰も知らないマイナー戦法』で本戦法の手順を公開する事になりました。

 

それではこれより…

未だ誰も見たことのない

「敵陣内へ将棋史上最強の囲いを作る戦法」

お見せしましょう…。

 

この戦法を体得すれば

特にトライルールのある

ネット将棋サイトでの

勝率は大幅に上がる事

間違いなし…!

 

ようこそ

敵陣こそ楽園…!

久夢流の世界へ…!

 


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△「間宮久夢流」ハイライトシーン

ではさっそく今回のハイライトシーンをご覧ください。

【ハイライト図は38手目△5三角まで】
先手はここから常識外の場所へ玉を囲う。

上記 ハイライト図は先手が▲4五歩~▲4六銀と右銀で位を確保した局面。
確かに先手は銀で位を確保して4筋の位は安定しているのですが、右銀で位を確保しているのでここから玉を囲う安全な場所がないように見えます。

しかしこの異様な形から、
先手は奇怪な次の一手で玉を安定感のある『入玉をするための理想的な位置』へと収めてしまいます。

先手の次の一手は玉を動かす手ですが、▲3八玉・▲3九玉のような普通の一手ではありません!

幻の棋士 間宮久夢斎が編み出した
『久夢流』絶対の一手とは…!?

 

 


◇(初手から)出だしは普通のノーマル振り飛車。

では、さっそく駒組みを見てみましょう。
下記初形図から手を進めます。

【初形図】
先手久夢流 対 後手居飛車。

 

・初形図からの指し手

▲7六歩 △3四歩 ▲6六歩 △8四歩

▲6八銀 △6二銀 ▲6七銀 △5四歩

(第1図)≫
↑≫の付いた青文字を押すと動く盤面で再生

【第1図は8手目△5四歩まで】
ノーマル振り飛車の出だし。

この振り飛車型の先手番・後手番のどちらでも使える戦法ですが、狙いをわかりやすくするために先手番で解説します。

まずは先手は▲7六歩~▲6六歩~▲6八銀~▲6七銀と左銀を6七に持っていきます。

さて上記第1図は、一見普通のノーマル振り飛車の出だしで、この時点では異端性のカケラも感じない局面です。

果たしてここから、どのように三段玉が登場するのでしょうか?

 


下記第1図再掲載して手を進めましょう。

【再掲載 第1図は8手目△5四歩まで】
先手はどのような構想を見せるのか?

 

・再掲載 第1図からの指し手

▲5六歩 △5二金右 ▲4八銀 △3二銀

▲5七銀 △8五歩 ▲7七角 △3一角

(第2図)≫
↑≫の付いた青文字を押すと動く盤面で再生

【第2図は16手目△3一角まで】
後手が△3一角で8筋を狙ってきた。

(*の付いた青色の文字*を押すと解説が表示されます。)

先手は▲5六歩~▲4八銀~▲5七銀と中央に二枚銀の形を作ります。
この右銀を▲5七銀と三段目に持っていくのが大事な手で、この右銀は後に完成する『久夢流』囲いの最重要の駒になります。

しかしこれは一見ただの雁木戦法*の出だしにも見えます。
なので先手の居飛車雁木戦法を警戒する後手は△3二銀~△8五歩~△3一角(上記 再掲載 第2図)として、次に△8六歩を狙ってきます。

もしこの上記 第2図の△3一角*に先手が何もしなければ、次に△8六歩* ▲同歩 △同角*8筋突破をして後手有利となります。

さて先手はこれに対してどう受けるのでしょうか?

 


◇(16手目)相手の8筋突破には▲8八飛で仕掛けを消す!

下記第2図再掲載して手を進めます。

【再掲載 第2図は16手目△3一角まで】
先手は8筋を受けるが…どう守る?

 

・再掲載 第2図からの指し手

▲8八飛!(第3図)≫
≫の付いた青文字↑を押すと動く盤面で再生

【第3図は17手目▲8八飛まで】
飛車で守る▲8八飛が大事な手。

なんと先手はここで▲8八飛!(上記 第3図)向かい飛車にして8筋を受けます。

雁木戦法の出だしと思っていた後手もこれにはギョッとするでしょう。

通常なら第2図*▲7八金*と上がり、以下△8六歩* ▲同歩 △同角 ▲同角 △同飛 ▲8七歩 △8二飛*と進み、以下は雁木囲いに組んで一局…とするのが現代将棋で好まれる展開です。

しかしこれだと後手に一歩持たれるので、後に右辺に大模様を張る久夢流にとっては本意の展開ではありません。

よって相手の序盤の8筋突破狙いには▲8八飛!(上記 第3図)としてしっかり受け止めて相手に歩を持たせないのが大事な手となります。
この▲8八飛で仕掛けを封じる手は、久夢流では頻出する大事な手なので覚えておきましょう。

★「久夢流」のポイント1

・相手の8筋突破狙いには▲8八飛でしっかり受け止めて仕掛けを封じる。


 

 


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◇(17手目)後手は囲いを作りたいが、迂闊に進めると危険。

第3図再掲載します。

【再掲載 第3図は17手目▲8八飛まで】
ここで後手は慎重になる必要がある。

後手はこの上記 再掲載 第3図先手からのある手を警戒しなければなりません。
それは▲8六歩の仕掛けです。

例えば再掲載 第3図*から後手が△3三銀* ▲4八玉 △4二玉*と進めると、
先手から▲8六歩!*と仕掛ける手があります。(これに△同歩*なら▲同角* △5一玉 ▲4二角成* △同玉 ▲8二飛成*先手勝勢。)

他に再掲載 第3図*から後手が△5三銀*だと▲6五歩(分岐有)* △4四銀(分岐1)*に(△4四歩《分岐2》*だと▲8六歩* △同歩 ▲同角* △8五歩 ▲7七角* △7四歩▲7五歩* △同歩 ▲6六銀右*先手ペース。)▲4六歩(分岐1)* △5三角 ▲4五歩* △3三銀引 ▲4六銀*…が一例で、本譜と同じように4筋の位を取る事ができます。

後手は△3一角の利きを止めると、常に上記変化の▲8六歩があるのです。
先手の▲8八飛は守りだけの手ではなく、後手陣の駒組みを制限する攻防一体の手なのでした。

さて…この▲8六歩の仕掛けが気になる後手は、ここからどう指せば良いのでしょうか?

 


下記第3図再掲載して、局面を進めましょう。

【再掲載 第3図は17手目▲8八飛まで】
先手の▲8六歩をどう予防するのか?

 

・再掲載 第3図からの指し手

△7四歩(第4図)≫
≫の付いた青文字↑を押すと動く盤面で再生

【第4図は18手目△7四歩まで】
先手の▲8六歩を意識して受けた手。

この上記 第4図△7四歩が先手の▲8六歩を受けた手です。
例えば上記 第4図*から▲3六歩 △3三銀 ▲4八玉 △4二玉*と上がった時に▲8六歩*と仕掛ける手に△7三桂*の受けを用意しています。(▲8五歩*なら △同飛* ▲同飛 △同桂*▲7七角取りになり後手不満なし。)

このあたり、細かい手順ですがお互いに水面下で仕掛けを封じる読み合いがぶつかっています。

しかしこれはまだ過去の定跡の範疇で、まだ久夢流の個性が出ている局面ではありません。

 


第4図下記再掲載して、もう少し手を進めてみましょう。

【再掲載 第4図は18手目△7四歩まで】
次の手がさらに後手陣を揺さぶる一手。

 

・再掲載 第4図からの指し手

▲3六歩(第5図)≫
≫の付いた青文字↑を押すと動く盤面で再生

【第5図は19手目▲3六歩まで】
袖飛車を狙った油断ならない手。

ここで先に▲3六歩(上記 第5図)と突くのが後手陣を攻める含みを見せた一手。
これも後手が緩手を指すと、即座に仕掛ける狙いを持っています。

例えば上記 第5図*から△7三銀*と銀を逆方向に持っていくような手だと、即座に ▲6五歩!*△3三銀 ▲4六銀 △4四歩 ▲3五歩!*と仕掛けていきます。(以下△2二角▲3八飛*で袖飛車にして一局ながら先手ペース。)

相手陣に隙ができると玉頭から即攻め潰す狙いを持っており、上記 第5図▲3六歩は実は相当攻めっ気のある手なのです。
…と言っても、これも実は江戸時代*からある定跡で、目新しいどころか200年近く前の埃をかぶった手順です。

「なるほど!」と思う手順ではあるものの、未だ久夢流は一切盤上に現れていません。

(ちなみにこの第5図の▲3六歩に代えて、▲4六歩と突く手も有力です。詳しくは記事最後の駒組みポイントまとめをご覧ください。《クリックでまとめへ移動。》)

一先ず盤上の手を進めて様子を見ましょう。
この将棋から『誰も知らないマイナー戦法』にどう変化するのでしょうか?

 


読みやすいよう下記第5図再掲載して、手順を進めます。

【再掲載 第5図は19手目▲3六歩まで】
間宮久夢流はいつ登場するのか?

 

・再掲載 第5図からの指し手

△3三銀 ▲4六歩 △4二玉(第6図)≫
≫の付いた青文字を押すと動く盤面で再生
。↑

【第6図は22手目△4二玉まで】
上部に備える△3三銀に4筋を伸ばす。

後手は第5図*△3三銀*と上がり、先手の▲4六銀*には△7三桂* ▲3五歩 △同歩 ▲同銀 △6四角* ▲4六銀 △4四歩*の返し技を用意しておきます。
手順は長いですが、△7四歩と突いた手と△3三銀と上がった手を両方生かしています。

これで後手は上部からの攻めに対して備える事ができました。
しかし先手は相手に△3三銀と上がらせて、後手の囲いを△3三銀型に限定させる事が狙いでしたので不満なし。

それに対して先手は▲4六歩と突き、後手は△4二玉(上記 第6図)と囲いに入りました。

この▲4六歩異世界 間宮久夢流の扉の鍵となります。
一体ここからどのような手順が飛び出すのでしょうか?

 


読みやすいように第6図下記再掲載します。

【再掲載 第6図は22手目△4二玉まで】
次の一手が入玉を狙う骨子!

 

・再掲載 第6図からの指し手

▲4五歩!(第7図)≫
≫の付いた青文字↑を押すと動く盤面で再生

【第7図は23手目▲4五歩まで】
これが久夢流の急所かつ第一歩!

なんと!
突然中空に▲4五歩!(上記 第7図)と位を取りました。

将棋を指し込んだ方が見ると「なんだこれは?」と思わず言いたくなるような歩で、パッと見ただけではこの位を生かす方法が浮かびません。
振り飛車の戦法で▲4五歩と位を取る形は、『コーヤン流三間飛車』▲4六銀型の高美濃囲い*での組み合わせで使われる事が主です。

この上記 第7図のように美濃囲いとはほど遠い形からの▲4五歩は誰も見たことがありません。

しかしこの▲4五歩こそが間宮久夢流の急所の一手で、この形から4筋の位を取る事が入玉への第一歩となるのです。

 


△(23手目 変化)▲4五歩に後手が△4四歩と反発してきたら?

下記第7図再掲載します。
もしも再掲載 第7図から後手が△4四歩と反発して
4筋の位を奪還しようとしたらどうなるのでしょう?

【再掲載 第7図は23手目▲4五歩まで】
後手が△4四歩と突く変化は怖くない。

上記 再掲載 第7図から△4四歩の変化は少し長くなるので、下記の別ページで変化をまとめています


23手目 変化「▲4五歩に△4四歩」

この4筋の位は既に確定しており、後手はもうここから位を奪回する事は不可能なのでした。

★「久夢流」のポイント2

・素早く4筋の位を取る。この位が取れれば、将棋は入玉形の展開になる。


 

 


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◇(23手目)ついに開いた、異世界への扉『▲4五歩!』

下記第7図再掲載します。

【再掲載 第7図は23手目▲4五歩まで】
ここからとんでもない手が飛び出す。

無事4筋の位が取れた上記 再掲載 第7図ですが、
後手からすると「こんな位を取られた所で、先手は美濃囲いではないので恐れる必要はない。」と思っているでしょう。
しかしここからとんでもない手の連続であっと言う間に『久夢流』の世界へ入っていくのでした…。

 


読みやすいよう、下記第7図再掲載して手を進めます。

【再掲載 第7図は23手目▲4五歩まで】
位は取れたが、次のポイントがある。

 

・再掲載 第7図からの指し手

△3二玉 ▲3七桂 △9四歩 ▲4八玉!

(第8図)≫
↑≫の付いた青文字を押すと動く盤面で再生

【第8図は27手目▲4八玉まで】
後手の端歩突きには受けずに玉上がり!

先手はまず▲3七桂として4筋の位を確保し、後手の△9四歩無視して▲4八玉!と上がります。
この「後手の端歩突きは絶対に無視する。」のが間宮久夢流の基本思想です。

なぜなら相手からの端歩突きは、中央の位を取って入玉勝ちを狙う先手からすると不必要な手であり、端歩を受ける手を指すぐらいなら一手でも早く▲4五歩と位を取って自陣の整備に当てたいのです。
(本当の事を言うと、先手が何手でも自由に指せるなら▲9五歩・▲1五歩と両方の位を取っても損ではない*のですが、この戦法は中央の位を取る手の方が重要*なので、相手が端歩を突いてきた時は無視して中央に手をかけるのが基本となります。

例えば上記 第8図*で後手が△9五歩*と突いてきたら、無視して▲4六銀 △1四歩 ▲4七玉 △1五歩 ▲3八金*(下記 参考A図)…が一例で、自陣を整備して玉を盛り上げた先手不満ありません。)

【参考A図は33手目▲3八金まで】
後手の端歩突きは全て無視。

 
★「久夢流」のポイント3

・相手の端歩突きは全て無視して自陣の手を優先する。特に4筋の位は最重要で端歩位取り以上の価値がある。


 

 


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◇(27手目)相手の斜め棒銀には▲6八角~▲7八金でしっかり受ける。

第8図下記再掲載して解説を進めましょう。

後手は下記 第8図から右銀を繰り出して棒銀を狙ってきます。
これには先手どう受けるのでしょうか?

【再掲載 第8図は27手目▲4八玉まで】
後手はここから仕掛けて来る。

 

・再掲載 第8図からの指し手

△7三銀 ▲6八角! △8四銀 ▲7八金!

(第9図)≫
↑≫の付いた青文字を押すと動く盤面で再生

【第9図は31手目▲7八金まで】
棒銀には▲6八角~▲7八金で受ける。

後手は△7三銀~△8四銀と出て、次に△7五歩からの棒銀攻めを狙ってきました。
これには▲6八角~▲7八金絶対の受けとなります。

「△7三銀に▲6八角。△8四銀(△6四銀)に▲7八金。」はワンセットの手と覚えておきましょう。
この手を覚えておけば、相手の棒銀は全く恐れる事はありません。

ここからの後手の攻撃の受け止め方を見ていきます。

 


下記第9図再掲載して手を進めましょう。

【再掲載 第9図は31手目▲7八金まで】
後手は△7五歩から仕掛けて来る…が。

 

・再掲載 第9図からの指し手

△7五歩 ▲同歩 △同銀 ▲7六歩

△6四銀(第10図)≫
≫の付いた青文字↑を押すと動く盤面で再生

【第10図は36手目△6四銀まで】
相手の棒銀は歩を打つだけで受かる。

後手の△7五歩には素直に▲同歩と取ります。
ここで本譜の△同銀に代えて、△7二飛*と回ってくる手には▲7七金* △7五銀 ▲7六歩 △6四銀*と7筋を受けて先手不満ありません。

よって後手は△同銀と取り、▲7六歩△6四銀(上記 第10図)と引いて局面が落ち着きます。

このように相手の棒銀には▲6八角~▲7八金と上がる手を覚えておけば全く恐れる必要はありません。
先手陣は▲6七銀・▲5七銀・▲7八金の金銀三枚の手厚い形なので、少々の攻めでは傷つけられる事はないのでした。

棒銀対策も簡単にできるのが、この間宮久夢流の長所の一つでもあります。

★「久夢流」のポイント4

「△7三銀に▲6八角。△8四銀(△6四銀)に▲7八金。」のワンセットの受けで相手の棒銀を封じる。


 

 


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◇(36手目)まずは▲4六銀で4五の位を確保し、玉を囲う準備!

読みやすいように下記第10図再掲載します。
ここから先手は玉を囲う準備をするのですが、そのために大事な一手があります。

【再掲載 第10図は36手目△6四銀まで】
ここから独創的な囲いが現れる…!

 

・再掲載 第10図からの指し手

▲4六銀! △5三角(ハイライト図)≫
≫の付いた青文字を押すと動く盤面で再生
。↑

【ハイライト図は38手目△5三角まで】
まずは▲4六銀と位を取り…。

一先ず先手は▲4六銀と上がり、後手からの△3五歩 ▲同歩 △3六歩からの桂頭攻めを防止しておきます。(先手の▲4六銀*△3五歩*▲同銀*で効果なし。)

後手は次に△4二金上と上がって金無双の形を作りたいので、上がった金で角筋を止めないように△5三角(上記 ハイライト図)と上がります。

というわけで、ついにやってきました上記 ハイライトシーンの局面!

▲4六銀と上がった先手陣は、4七のスペースがぽっかりと空いており▲4八玉型と相性が良くなさそうに見えます。
この上記 ハイライト図から先手が堅く安定した玉形を作る事は一見不可能に見えますが…。
なんと、ここからたった一手で先手玉は広く安定感のある位置へ玉を囲うのです。

先手の次の一手は玉を動かす手なのですが、一体どこに玉を収めるのでしょうか?
普通ならば▲3八玉▲3九玉と囲って一安心という所ですが、なんと『間宮久夢流』はそんな普通の場所には玉を囲いません。

さぁ、ここから現れる異次元の囲いをご覧ください…!

 


 

 


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◇(38手目 ハイライトシーン)ついに開かれた久夢流の世界…!『▲4七玉の三段玉』

下記ハイライト図再掲載します。

下記 再掲載 ハイライト図から、今まで誰も見たことのない囲いが登場します。
ついに間宮久夢流の異世界の扉が開かれるのです…。

【ハイライト図は38手目△5三角まで】
次の手は誰も想像できない創造的な手。

 

・再掲載 ハイライト図からの指し手

▲4七玉!(第11図)≫
≫の付いた青文字↑を押すと動く盤面で再生

【第11図は39手目▲4七玉まで】
▲4七玉!これがこの囲いの定位置である。

先手は▲4六銀と銀を四段目に送った後、次の一手で玉を囲いに入れます。
それが▲4七玉!(上記 第11図)です。

信じられないかもしれませんが、この4七地点が間宮久夢流にとって非常に安全な玉の位置なのです。
もっと言うなら「▲4六銀・▲3七桂・▲4七玉」…。
四段目の銀&桂馬で位を取って、その下に玉がいる形が意外と王手がかかり辛く、敵陣に玉が近く最も入玉しやすい攻防一体の構えという事です。


ちなみに『1950年 近代将棋6月号』のP42で間宮六段本人が理想の玉の位置について語っており。

「玉の位置は四七か六七の三段目が理想的で、入玉には敵陣に近いほど、便利というリクツですね。


・出版社:近代将棋社
・『1950年 近代将棋6月号』(1950年6月1日発行)
P42『久夢流の公開』より引用。

との事です。
展開によっては左側の6七に玉を囲う事もあるようです。


なお4七か6七のどちらが良いかの目安ですが、相手玉と同じ方向へ自玉を囲った方が指しやすくなる事が多いと思われます。
ちょうど今回解説している下記 再掲載 第11図の局面がそれで、相手の玉側(△3二玉)に4五の位を取り、その真上に自玉(▲4七玉)が居る形になっており相対的に玉の広さで先手が優位に立ちます。

【再掲載 第11図は39手目▲4七玉まで】
相手玉を狭くし、自玉は広い。これぞ理想

 
★「久夢流」のポイント5

・玉の位置は4七・6七の三段目が理想!位の真下に銀と玉を置く。可能なら相手玉と同じ方向に位を取って自玉を囲う。


 

 


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◇(39手目)三段玉に囲った後は?入玉用の発射台を組む準備!

下記第11図再掲載して局面を進めます。
玉は囲いましたが、それだけではこの囲いは完成とは言えません。
そもそも久夢流で玉を一番囲いたい本来の場所は自陣の4七・6七ではなく、敵陣の中なのですから…。
ここから玉を敵陣へ入玉するための発射台作成の準備をしましょう。

【再掲載 第11図は39手目▲4七玉まで】
先手はようやく攻撃陣を作りに行く。

 

・再掲載 第11図からの指し手

△4二金上 ▲7七桂 △7三桂 ▲8九飛

△9五歩 ▲2六歩(第12図)≫
≫の付いた青文字を押すと↑動く盤面で再生

【第12図は45手目▲2六歩まで】
下段飛車に構え2筋を伸ばす。

まずは▲7七桂~▲8九飛と下段飛車に構えます。
先手が入玉するためには、この下段に飛車を置く手が必須となります。
そして次に▲2六歩(上記 第12図)

この手の意味は数手後にわかりますので解説は省きますが、変化だけ解説しておきましょう。
上記 第12図の▲2六歩*△同角*と取る手は、以下▲3五歩* △同歩 ▲同銀 △1五角 ▲1六歩*で後手の角を殺して先手有利となります。
よって後手はこの浮いた2六の歩を取る事はできません。

 


第12図下記再掲載して手を進めましょう。
ここからあと9手で先手の入玉用の囲いが完成します。

【再掲載 第12図は45手目▲2六歩まで】
あと9手で入玉用の囲いが完成する。

 

・再掲載 第12図からの指し手

△8一飛 ▲3八金! △1四歩 ▲2五歩

△1五歩 ▲2九飛!(第13図)≫
≫の付いた青文字を押すと動く盤面で再生。↑

【第13図は51手目▲2九飛まで】
2筋に飛車を回り、三段玉の右玉!

先手は▲3八金!から▲2五歩~▲2九飛!(上記 第13図)と飛車を回ります。
この上記 第13図の▲2九飛*に対し△8六歩*と仕掛ける手は、以下▲同歩 △同飛▲6五桂*で飛角両取りがかかって先手有利となります。

というわけで…先手が▲2九飛と回った、この上記 第13図の局面…。
この三段玉の右玉が『間宮久夢流』と呼ばれる陣形なのです!(下記 久夢流図参照。)

【久夢流図】
三段玉+下段飛車が久夢流の基本形。

つまり久夢流とは、この上記 久夢流図の形を作る事が狙いの戦法だったのです。

なお、左銀は6七が定位置ではなく、本来は▲5五歩~▲5六銀*(下記 久夢流理想図)と位を取って5筋に持っていくのが理想です。

【久夢流理想図】
この形ができれば入玉手段がさらに増える。

 


 

 


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◇(51手目)まだ囲いは完成していない…。画竜点睛の『▲2六金!』で入玉陣完成!

下記第13図再掲載します。
この下記 再掲載 第13図で囲いが完成していると思うでしょうが、実はまだ大事な手が抜けています。
その手を指してようやく入玉専用の陣形『間宮久夢流』が完成するのですから…。

【再掲載 第13図は51手目▲2九飛まで】
だが…実は囲いは完成していない。

 

・再掲載 第13図からの指し手

△2二銀 ▲2七金 △3三銀 ▲2六金!

(第14図)≫
↑≫の付いた青文字を押すと動く盤面で再生

【第14図は55手目▲2六金まで】
▲2六金で久夢流完成!入玉準備完了。

▲2六金!(上記 第14図)で久夢流完成!入玉準備完了。

後手は手詰まり模様なので△2二銀*と引き、先手が▲2四歩*と仕掛けてきたら△同歩 ▲同飛△2三銀 ▲2九飛 △2四歩*と銀冠を作ろうとしています。
ですが、先手は後手の銀引きを無視して▲2七金~▲2六金!(上記 第14図)と棒金に出て攻撃陣を完成させました。
55手目にして囲いが完成という、実に遠大な構想の末に現れる幻の戦法なのです。

この上記 第14図の▲2六金が大事な手で、この最後の棒金がなくては入玉を狙うための攻め駒が欠けてしまいます。

この棒金を狙うために途中で▲3八金と上がっており、もしもこれが安定感を重視して▲4八金*(下記 参考B図)だと囲い自体の安定感はあり右玉としては好形なのですが、入玉する事ができず久夢流の本来の狙いである『一番安全な敵陣に囲いを作る』事ができません。

【参考B図は47手目▲4八金まで】
▲4八金型は好形だが入玉が狙えない。

 
★「久夢流」のポイント6

・右金を▲2六金と上がって入玉陣の完成!この形を作るために絶対に▲3八金と上がろう。


 

 


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◆「間宮久夢流」駒組みポイント まとめ

最後に今回解説した『間宮久夢流』の6つのポイントをまとめておきます。


・「間宮久夢流」6つの駒組みポイント まとめ

1:相手の8筋突破狙いには▲8八飛でしっかり受け止めて仕掛けを封じる。(下図参照。)

 【再掲載 第3図は17手目▲8八飛まで】   
  向飛車にして相手に歩を持たせない。  

・「ポイント1『▲8八飛で仕掛けを消す!』」の解説へ移動。


2:素早く4筋の位を取る。この位が取れれば、将棋は入玉形の展開になる。(下図参照。)

  【再掲載 第7図は23手目▲4五歩まで】   
  いち早くこの位を取る。(注意点は下記。)  

・「ポイント2『素早く4筋の位を取る▲4五歩』」の解説へ移動。

ちなみに後手が△6四角と出られる状態*で、無策に▲4五歩*と突くと△6四角*で次に△1九角成があって困ってしまいます。
なので△6四角が気になる場合*は先に▲3七桂*と上がってから▲4五歩*を突けば問題なく位を取る事ができます。(慣れないうちはよくやりがちなミスなので注意!)

この△6四角の変化が気になる方は序盤の▲3六歩に代えて*、先に▲4六歩*▲4五歩*と即座に4筋の位を取れば、後手は△6四角と出辛いので(△6四角*▲6五歩*の返しがある。)先手は安心して▲4五歩*▲4六銀*と出る事ができます。(ここで△6四角*には▲6八角*でピッタリ受かる。)

 


3:相手の端歩突きは全て無視して自陣の手を優先する。特に4筋の位は最重要で端歩位取り以上の価値がある。(下図参照。)

 【再掲載 第8図は27手目▲4八玉まで】  
 端歩より4筋の位!入玉に端歩は不要。 

・「ポイント3『相手の端歩突きは手抜きする』」の解説へ移動。

特に1筋の玉側の位は相手に取らせた方*が、後に▲2七金*と上がった時に先手から▲1六歩*の仕掛けが生じる。久夢流にとってメリットが多いので、思い切って相手に端の位を取らせてしまおう!

 


4:「△7三銀に▲6八角。△8四銀(△6四銀)に▲7八金。」のワンセットの受けで相手の斜め棒銀を封じる。(下図参照。)

 【再掲載 第10図は36手目△6四銀まで】 
 △7五銀と出られても▲7六歩で大丈夫。 

・「ポイント4『相手の斜め棒銀には▲6八角~▲7八金でしっかり受ける』」の解説へ移動。


5:玉の位置は4七・6七の三段目が理想!位の真下に銀と玉を置く。可能なら相手玉と同じ方向に位を取って自玉を囲う。(下図参照。)

 【再掲載 第11図は39手目▲4七玉まで】 
  理想形!1路でも敵陣へ玉を近づける!  

・「ポイント5『玉の位置は三段目が理想!』」の解説へ移動。


6:右金を▲2六金と上がって入玉陣の完成!この形を作るために絶対に▲3八金と上がろう。(下図参照。)

 【再掲載 第14図は55手目▲2六金まで】 
 この金がないと入玉ができない。必須の手。 

・「ポイント6『画竜点睛の▲2六金!』」の解説へ移動。

 


◆次回予告「久夢流 中終盤編『最も安全な敵陣へ入玉する2つのルート』」

序盤の駒組みが終わり、次は久夢流の中盤~終盤の指し回しの解説。
この戦法、序盤だけでなく中盤・終盤の考え方も独特で今までの定跡の考え方が全く通用しません。

それも当然。
だって相手玉を寄せる事より、何よりも自玉を敵陣へ送り込む事が最重要なのですから。

【次回予告図は114手目△3四歩まで】
制したい空間がある。それは何処?

次回は、114手目の上記 次回予告図の次の一手が問題。
先手の棒金・棒銀の2連続攻めが相手玉に炸裂し、後手陣を薄くした所。

実はこの久夢流は「盤上のある地点を制し、その地点へ自分の駒を利かす事」に重きを置いています。
その地点とは一体?そしてその考え方に基づいた上記 次回予告図次の一手は?

 

さらにもう一つあった!

右側だけではない、

もう一つの入玉ルートとは!?

 

次回!誰も知らないマイナー戦法 第2回!
『間宮久夢流』

最も安全な敵陣へ入玉する2つのルート!

お楽しみに!

 


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◆次回の記事(Part2)


 

 

 


◆今回の記事の棋譜再生&kifファイルダウンロード

この記事で解説した棋譜を動かして再生できます。

 

 


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