(17手目 変化)17手目▲6五角の変化。「鏡の相居飛車」に秘められた「端歩の毒牙」


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◆(変化 17手目)17手目▲6五角の変化。「鏡の相居飛車」に秘められた「端歩の毒牙」

この△2二飛には、先手はある手を指したくなるはずです。
それが▲6五角(下記 再掲載 変化H1図)です。

【再掲載 変化H1図は17手目▲6五角まで】
当然の一手…だが、実は悪手。

この上記 変化H1図の▲6五角から、次の▲4三角成・▲8三角成の両成りが受からず後手不利…というのがよくある定跡です。

普通なら上記 変化H1図の▲6五角*には△5四角*と打ち、▲同角 △同歩*…と進み互角の将棋となりますが、本戦法はそんな変化にはなりません。

なぜなら、ここから後手が有利になる罠があるのですから…!

というわけで、その手をご覧にいれましょう。

 


下記変化H1図再掲載し、手を進めましょう。

【再掲載 変化H1図は17手目▲6五角まで】
ここで驚愕の返し技がある。その手とは?

 

・再掲載 変化H1図からの指し手

△1五歩 ▲同歩 △2六歩 ▲同歩

△1五香 ▲同香 △2六飛 ▲2七歩

△2五飛!(変化H2図)≫
≫の付いた青文字を押すと↑動く盤面で再生

【変化H2図は26手目△2五飛まで】
香を捨てて△2五飛!この意味は?

突然後手は△1五歩~△2六歩~△1五香と自らの香を捨て、
そこから△2六飛と走ります。
(この△2六飛*▲2七香*は、以下△1六飛 ▲1七歩 △1五飛 ▲4三角成*△2六歩 ▲同香 △2五歩*で打った香を取れて後手優勢。
他に△2六飛*▲2八香*は、以下△1六飛 ▲1七歩 △1五飛 ▲4三角成*△1八歩*で次の△1九歩成~△2九と~△1七飛成の突破があり後手優勢。)

よって△2六飛には▲2七歩と打つ一手ですが、それに△2五飛!(下記 再掲載 変化H2図)と中段飛車に構えました。

【再掲載 変化H2図は26手目△2五飛まで】
この△2五飛には狙いが多い。

後手が上記 再掲載 変化H2図で次に狙っている手は、
当然△6五飛と角を取る手が第一ですが…

他に上記 変化H2図*△1六角*と打って、次に▲2八香△2六歩*から先手玉を叩き潰す手を狙っています。(これも恐ろしい角打ち。)

後は上記 変化H2図*△1七歩* ▲同桂 △1五飛*から次に△1六歩で1筋を突破する狙いです。

それ以外にも後手が狙っている玉頭攻めはあるのですが、それは下記変化手順で解説しましょう。


 


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◇(26手目 変化A)先手の▲8三角成には?「△2三香~△2二飛で数の2筋突破!」

手を進めるため、下記変化H2図再掲載します。
まずは下記 再掲載 変化H2図▲8三角成8筋へ角を成る手を解説します。

この手には、後手が狙っている他の玉頭攻めが炸裂します。

【再掲載 変化H2図は26手目△2五飛まで】
まずは▲8三角成。この手には?

 

・再掲載 変化H2図からの指し手

▲8三角成 △1五飛 ▲1七歩 △7二金

▲5六馬 △2三香!(変化H3図)≫
≫の付いた青文字を押すと動く盤面で再生
。↑

【変化H3図は32手目△2三香まで】
変な香の位置だがこの意味は?

先手はまず変化H2図*から▲8三角成*としてきました。
本来この手に対し、後手は△1六角*と打って攻めたいのですが…それには▲6一馬 △同玉 ▲1七金*と金で打った角を殺され後手失敗となります。

よって変化H2図では、別の手を考えなければなりません。
なので後手は▲8三角成に対し、△1五飛で香を手持ちにしてから、△7二金と一旦先手の馬を追い払い、その後に手にした香を△2三香!(上記 変化H3図)と打ちました。

しかし一目「意味のわからない香打ち」で、この手が何を狙っているのか見えてきません。
なぜ△2三香?△2二香では駄目なのか?という疑問も出てきます。

一先ずそんな疑問は置いておき、局面を進めてましょう。
この△2三香の謎が一瞬で氷解します。

 


読みやすいよう、下記変化H3図再掲載します。
ここから6手で△2三香の謎が解けます。

【再掲載 変化H3図は32手目△2三香まで】
たった6手で後手有利になる。

 

・再掲載 変化H3図からの指し手

▲2八銀 △1二飛 ▲4八金上 △2二飛!

▲3六歩 △1八歩!(変化H結果図)≫
≫の付いた青文字を押すと動く盤面で再生
。↑

【変化H結果図は38手目△1八歩まで】
次に△1九歩成~△2七香成で後手有利。

後手は変化H3図から△1二飛~△2二飛!飛車を△2三香の背後に回り、次に2七地点へ殺到する事が狙いだったのです。
対する先手は▲2八銀~▲4八金上~▲3六歩(▲3七金と上がって2七地点を守る狙い。)と指しますが、そこでトドメの△1八歩!(上記 変化H結果図)となり後手有利となりました。

上記 変化H結果図*では、次に△1九歩成* ▲同銀 △2七香成*単純に2筋突破をする手が受かりません。(この1八地点へ駒を打つために、後手は1筋で香交換をした。)

よって上記 変化H結果図*では▲3七金*と上がって頑張るぐらいですが、それにも△1九角* ▲同銀 △同歩成*から、次に△2九と ▲同玉 △2七香成から玉頭を直撃していけば後手勝ちとなります。

というわけで上記 変化H結果図まで進むと、
後手の攻め駒が先手玉頭の2七地点へ殺到しているのと
後手玉が5一にいるため先手の7筋・8筋の攻めから遠く、先手は右辺で入手した駒で反撃をする事すらままならない…という状況なのでした。

★「鏡の左早繰り銀」対▲6五角のポイント1

▲8三角成には△1五飛~△2三香~△2二飛から2七地点の突破を狙う。


 

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◇(26手目 変化B)先手の▲4三角成には?「一撃必殺△4八歩!」

では26手目△2五飛下記 再掲載 変化H2図に戻り、
先手が▲4三角成と4三へ角を成る変化を解説しましょう

【再掲載 変化H2図は26手目△2五飛まで】
ここで▲4三角成だと?これも罠があり…。

 

・再掲載 変化H2図からの指し手

▲4三角成 △5二金左 ▲7六馬 △4八歩!

(変化I1図)≫
↑≫の付いた青文字を押すと動く盤面で再生

【変化I1図は30手目△4八歩まで】
取られた筋の歩をいきなり4八へ!

先手は▲4三角成と4三へ成ってきますが、
後手は△5二金左*に対して▲7六馬と引きます。(▲7六馬の所、▲3二馬*も本譜同様△4八歩*後手有利。)

後手は4筋の歩を取られてしまいましたが、この歩を取ってもらう事が後手の真の狙いだったのです。

そう!この△4八歩!(下記 再掲載 変化I1図)と打つ手が狙いなのだから…。

【再掲載 変化I1図は30手目△4八歩まで】
この手に▲同金直・▲同銀だと?

この上記 再掲載 変化I1図*▲同銀*は玉が狭くなるので、△1六角*と打って次に△2七角成 ▲3九玉 △2八馬までの詰みを狙って後手優勢です。

さらに上記 再掲載 変化I1図*から▲同金寄*もやはり玉が狭く、△1六角*と打って次に△2七角成までの詰みを狙って後手優勢。

他に上記 再掲載 変化I1図*▲同金直*も、やはり△1六角*(次に△2七角成までの詰み。)が厳しく、以下▲2八銀 △2六歩*で角筋を使って2七地点を攻めれば、先手玉はとても持たず後手勝勢です。

つまり…この△4八歩は、後手が△1六角と打った時に先手玉の逃げ道を潰しておく狙いなのです。
この30手という短い局面で、後手から飛び出す手は角の能力を最大限に生かす手ばかりです。

 


 


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読みやすいよう、変化I1図再掲載して手を進めましょう。
ここからはもう先手玉を仕上げるだけです。

【再掲載 変化I1図は30手目△4八歩まで】
残された手は▲同玉だけだが…。

 

・再掲載 変化I1図からの指し手

▲同玉 △2七飛成 ▲2八歩 △1八龍

▲2一馬 △2七歩(変化I結果図)≫
≫の付いた青文字を押すと動く盤面で再生
。↑

【変化I結果図は36手目△2七歩まで】
△1八龍~△2七歩で攻める後手有利!

変化I1図△4八歩に、先手は▲同玉と取るよりありませんが
それには△2七飛成と単純に飛車を成り込み、
以下▲2八歩△1八龍~△2七歩(上記 変化I結果図)と先手玉へと金攻めを狙って行けば
玉の安全度の差で後手有利となります。

後手は上記 変化I結果図から△6二玉~△7二銀~△7一玉とするだけで、さらに玉を安全にできるのに対し、
先手は玉の右辺に火がついてしまっており、それを受けるだけで手一杯の状況です。(左辺に逃げても玉飛接近の形になり、さほど玉が安全にならないのも厳しい。)

先手は上記 変化I結果図*から▲3八金*と上がって2筋を受けるぐらいですが、以下△2九龍* ▲2七歩 △3五桂*から、次に△2七桂成の攻めを狙って後手有利は揺るぎません。

 

★「鏡の左早繰り銀」対▲6五角のポイント2

▲4三角成には取られた歩を活用する△4八歩~△1六角!


 

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◆「鏡の左早繰り銀」17手目 ▲6五角。2つのポイント まとめ


・「鏡の左早繰り銀」17手目 ▲6五角。2つのポイント まとめ

1:▲8三角成には△1五飛~△2三香~△2二飛から2七地点の突破を狙う。(下図参照。)

【再掲載 変化H結果図は38手目△1八歩まで】
  △2三香~△2二飛から2七地点を狙う。  

・ポイント1:『▲8三角成には中空の△2三香!』の解説へ移動。


2:▲4三角成には取られた歩を活用する△4八歩~△1六角!(下図参照。)

【再掲載 変化I結果図は36手目△2七歩まで】
     取られた歩を即座に使う鬼の一打!     

・ポイント2:『▲4三角成には鬼の角使い△4八歩!』の解説へ移動。

 


というわけで…
この本譜16手目の△2二飛(下記 再掲載 第7図)の局面で
先手は▲6五角と打てないのでした。

【再掲載 第7図は16手目△2二飛まで】
▲6五角は悪手。…恐ろしい罠だ。

ここで▲6五角と打ってしまうと、△1五歩~△1五同香~△2六歩~△2五飛から、△4八歩~△1六角あっさりと先手玉を崩壊させる…。
この手順を用意するため、後手は序盤で△1四歩・▲1六歩の交換を入れていたのでした。

そしてこの▲6五角に△1五歩~△2六歩の返し技こそが
GAVA氏が見つけた新手順なのでした。

何がなんでも上記 再掲載 第7図ある角打ちを成立させようとするこだわりが生んだ必殺手です。

★「鏡の左早繰り銀」のポイント4

▲6五角には、△1五歩~△2六歩から香を奪い取り2筋突破!この1筋の端歩交換が後手の罠。


 

 

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