【第1回 誰も知らないマイナー戦法】平成3年に現れた伝説の囲い ▲7八金型「天守閣囲い」駒組み編 Part2



◆【第1回 誰も知らないマイナー戦法】平成3年に現れた伝説の囲い ▲7八金型「天守閣囲い」駒組み編 Part2

前回は『左美濃伝説』で紹介された天守閣囲い(天守閣囲い図)の下段への遠さを紹介しました。


◎関連記事 ⇒ 【第1回 誰も知らないマイナー戦法】平成3年に現れた伝説の囲い ▲7八金型「天守閣囲い」Part1

●第1回 「▲7八金型天守閣囲い」紹介記事一覧 ⇒ 第1回 伝説の囲い「▲7八金型天守閣囲い」 一覧
◆他の「誰も知らないマイナー戦法シリーズ」記事一覧 ⇒ 誰も知らないマイナー戦法シリーズ


攻撃力が高く、下段攻めに強いと言う囲いの特性を理解できたはずです。

【天守閣囲い図】
平成3年に登場した下段に強い伝説の囲い。

ですが実戦で使うにあたり「天守閣囲い」に組む手順を知らなければ実戦投入はできません。
今回は対ノーマル振り飛車 天守閣囲いの組み方を紹介していきます。

 

 


△「天守閣囲い」ハイライトシーン

【ハイライト図は△4五歩まで】
天守閣美濃では不可能な強手がある。

ハイライト図は、天守閣囲い▲4六銀右戦法から▲5四歩~▲5八飛と回った手に対し、後手の振り飛車側が△4五歩と反発した局面。
ここで通常の▲7八銀型天守閣美濃では絶対に成立しない強手が登場する。

 

 


◇(初手から)天守閣囲いの駒組み手順 右金を上がらずに▲5七銀型を作るのが大事

ではハイライトシーンまでの駒組みを紹介していきます。
今回は対後手四間飛車での駒組みを一例にします。

【初形図】
天守閣囲い対振り飛車の一例。

・初形図からの指し手

▲7六歩 △3四歩 ▲2六歩 △4四歩

▲4八銀 △4二飛 ▲6八玉 △9四歩

▲9六歩(第1図)

【第1図は9手目▲9六歩まで】
天守閣囲いは9筋の端歩を受ける。

後手の振り飛車側は穴熊打診のため、早期に△9四歩と突いてくる事が多い。
▲9六歩と受けないと後手に△9五歩と端歩を突き越され、終盤に狭い玉形になり玉の逃げ道が狭くなってしまいます。
先手は居飛車穴熊でもない限り、9筋の突き越しは自玉が狭くなって損なので絶対に受けるべきです。

特にこの天守閣囲いでは、9筋の端歩は玉の広さに直結するので絶対に▲9六歩と受けておきましょう。

 

 

第1図を再掲載します。

【再掲載 第1図は9手目▲9六歩まで】
天守閣囲いは9筋の端歩を受ける。

・再掲載 第1図からの指し手

△3二銀 ▲7八玉 △6二玉 ▲5六歩

△7二玉 ▲2五歩 △3三角 ▲3六歩

△8二玉 ▲5七銀(第2図)

【第2図は19手目▲5七銀まで】
▲5八金右と上がらず▲5七銀が大事。

第2図▲5七銀が大事な一手。

▲5七銀の所、▲5八金右と舟囲いに組むのが普通の定跡手順です。
▲5八金右の舟囲いの方が、相手の出だしによっては▲6八銀~▲5七銀左の急戦で戦う含みを残せるからです。(▲5七銀左▲4八銀右型は4・5筋に厚く、右辺の駒を攻めに使いやすい。)

今回▲5七銀と上がった事で、先手は急戦では攻めにくくなってしまい、先手側は持久戦で戦うと宣言したようなものです。

しかし今回の天守閣囲いは▲5八金右と上がらない事が大事なポイント。
右金を上がらない事で、その一手分早く仕掛ける事ができ、さらに将来▲5八飛と回る手を作っています。
通常の急戦はとうの昔に眼中にないのです。

★「天守閣囲い」のポイント1

▲5八金右と上がらず▲5七銀型を作るのが大事! これで1手早く仕掛ける事ができ、将来▲5八飛の筋を作れる。



◇(19手目)▲8六歩~▲8七玉~▲7八金で天守閣囲いの完成! 仕掛けの形は斜め棒銀が良い

第2図を再掲載します。
▲5七銀と準備が整ったので、ここから天守閣囲いが登場します。

【再掲載 第2図は19手目▲5七銀まで】
居飛車はここから天守閣囲いに組む。

・再掲載 第2図からの指し手

△7二銀 ▲8六歩 △5二金左 ▲8七玉

△6四歩 ▲7八金(第3図)

【第3図は25手目▲7八金まで】
▲7八金と上がり天守閣囲いの完成。

居飛車側は8筋を突き、角頭に玉を上がってから▲7八金!で「天守閣囲い」を完成させました。
25手と早い手数で組み上がり、ここから先手は仕掛けを考えるだけとなりました。
では先手は第3図からどう仕掛けるのでしょうか?

 

第3図再掲載します。

【再掲載 第3図は25手目▲7八金まで】
先手はどう仕掛けるのが天守閣囲いを生かせる?

・再掲載 第3図からの指し手

△4三銀 ▲4六銀 △5四歩 ▲3五歩(第4図)

【第4図は29手目▲3五歩まで】
右銀の斜め棒銀で仕掛ける。急戦模様。

この天守閣囲いを使う際に相性が良いのは▲4六銀の斜め棒銀系の攻撃陣です。(5筋に飛車を転換しやすいため。)
▲4六銀と上がった瞬間に先手が次に狙っている攻め筋は、▲3五歩~▲3四歩 △同銀 ▲5五銀~▲6四銀と浮いた△6四歩を取りにいく手。
よって後手は先手の▲5五銀を消しておく必要があるので△5四歩と受ける一手に、そこで▲3五歩と仕掛けて第4図となりました。

なんと29手目で開戦と、他の急戦形定跡と仕掛ける手数が同じです。(▲4六銀左斜め棒銀や▲4五歩早仕掛けなど。)
この天守閣囲いは、手数的には急戦にカテゴライズされるほど仕掛けのタイミングが早いのが特徴です。

 

 


◇(29手目)斜め棒銀で3筋を狙うと見せかけ、真の狙いは5筋突破!

第4図再掲載します。
この▲3五歩の斜め棒銀に対し、振り飛車側はどう受けるのが最善でしょうか?

【再掲載 第4図は29手目▲3五歩まで】
3筋の棒銀に対しどう受けるか?

・再掲載 第4図からの指し手

△3二飛 ▲5五歩(第5図)

【第5図は31手目▲5五歩まで】
攻めてきた筋に飛車を振る手に▲5五歩。

相手の攻めてきた筋に飛車を振り、その攻めを目標にする△3二飛が振り飛車の部分的な定跡です。
それが一番相手の攻めを利用しやすく、振り飛車を指すうえで好手になりやすい手なのですが
一度△3二飛と相手の飛車をずらしてから、第5図のように▲5五歩!と仕掛けるのが先手の狙い。

この▲5五歩△同歩なら▲5五同銀から、次に▲3四歩 △同銀 ▲4四銀や単に▲6四銀と歩を取る手があって先手十分です。

さて後手は第5図△5五同歩と取りにくいので、ここからどうやって反撃していくのでしょうか?
居飛車の囲いは見慣れぬ天守閣囲いで、どのぐらい耐久力があるのかもわかりません。
ここから振り飛車側は何とか捌いて手を作りますが、果たして?

 

 


◇(31手目)対する振り飛車側は3筋を伸ばし三間飛車から捌いていく

第5図再掲載します。

【再掲載 第5図は31手目▲5五歩まで】
後手はここから3筋から捌く方針で行く。

・再掲載 第5図からの指し手

△3五歩 ▲5四歩 △3六歩(第6図)

【第6図は34手目△3六歩まで】
3筋を狙ってきたが・・・。

後手の振り飛車側は△3五歩と伸ばし、3筋から捌こうとします。
この△3五歩▲同銀だと△4二角 ▲3四歩 △同銀 ▲同銀 △同飛と3筋から飛車を捌かれる変化が気になります。

ですが、ここで先手には厳しい攻めの構想があります。
それが3筋を無視して▲5四歩と伸ばす攻めです。
この歩突きが、天守閣囲いの特性を生かした急所の一手なのです。

そんな事はつゆ知らず、後手は△3六歩(第6図)と取り込みますが
ここからが天守閣囲いを生かした攻めとなります。

 

 


◇(34手目)振り飛車△3六歩の捌きに対し、3手1組の中飛車攻め!

第6図再掲載します。
ここから3手読んでください、一気に中央突破を決めてしまいます。

【再掲載 第6図は34手目△3六歩まで】
居飛車に3手1組の攻めが出る。

・再掲載 第6図からの指し手

▲3四歩 △同銀 ▲5八飛(第7図)

【第7図は37手目▲5八飛まで】
中央を薄くして▲5八飛と中央狙い!

▲3四歩 △同銀(△4二角△5一角▲3五銀と押さえて先手有利。)と中央を薄くし、▲5八飛(第7図)と回るのが天守閣囲いの特性を生かした手筋です。
序盤に▲5八金右と上がらなかった効果がここで現れています。

 

第7図になった局面、後手の振り飛車側は既に困っています。

第7図△6二金上と5筋を受けるようでは、▲5五銀と押さえ込まれて捌く目途が立たず後手ジリ貧。
他に第7図で軽く△4二角と引いて受けるのも、▲4四角と出られる手があって困っています。

★「天守閣囲い」のポイント2

▲5五歩~▲5八飛と中央攻めを織り交ぜて仕掛ける。 5筋に飛車を回れる特性をフルに生かす。



◇(37手目)振り飛車は常套手段の△4五歩!通常の▲7八銀型天守閣美濃なら王手飛車の筋があり居飛車不利なのだが・・・

第7図再掲載します。

仕方ないので、再掲載 第7図から後手の振り飛車側は通常の対▲7八銀型天守閣美濃と同じ手順で捌いて勝負してみますが
これが天守閣囲いの大きな罠だと知らずに・・・。

【再掲載 第7図は37手目▲5八飛まで】
後手はもう捌いて勝負しかない。

・再掲載 第7図からの指し手

△4五歩(ハイライト図)

【ハイライト図は38手目△4五歩まで】
△4五歩から角交換で捌いて勝負。

振り飛車側は困った時にはとりあえず△4五歩(ハイライト図)と角交換を挑むのが定番です。

確かに通常の対天守閣美濃には△4五歩から捌けば結構手になるのです。
何故なら角交換の後に△3五角の攻防手や、将来△4四角(天守閣美濃仮想図)・△5五角といった▲8八玉型に王手で受ける手筋が頻出するからです。

【天守閣美濃仮想図は△4四角まで】
▲8八同玉に角で王手の攻防手が頻出する。

上の図のように、普通の▲7八銀・▲6九金型の天守閣美濃では△8八角成▲8八同玉と取るしかなく、常に王手で受ける筋を狙われてしまいます。
天守閣美濃を指した事がある方なら、この筋は痛いほど体で理解しているはずです。

では、この天守閣囲いでは大丈夫なのでしょうか?

 

 


◇(38手目 ハイライトシーン)天守閣囲いならではの一手で簡単に5筋突破成功!

再掲載 ハイライト図に戻って、次の一手を指してみましょう。
ここまで読めば、再掲載 ハイライト図の次の一手はおわかりでしょう!

【ハイライト図は38手目△4五歩まで】
天守閣囲いの特性を生かした一撃!

・再掲載 第7図からの指し手

▲5三歩成(第8図)

【第8図は39手目▲5三歩成まで】
天守閣囲いでのみ成立する歩成り!

そうなのです!▲5三歩成が成立するのです。
▲7八銀型天守閣美濃では先ほどの仮想図のように△8八角成 ▲同玉 △4四角王手でと金を払われるのですが、▲7八金型天守閣囲いだと第8図△8八角成にも▲同銀と取ってなんでもありません。
よって振り飛車側は通常の天守閣美濃の定跡と同じように対応すると、5筋突破されて困ってしまうのです。

これは上手くいきすぎた一例ですが、天守閣囲いの角交換に強い&5筋に飛車を転戦できる長所を発揮した展開なのです。

★「天守閣囲い」のポイント3

・角交換に強いので、王手飛車の筋を気にせず攻め合える。


◇(39手目)▲5三歩成からの5筋突破が成功して天守閣囲い有利。以下捌き合いから終盤戦へ

第8図再掲載します。

【再掲載 第8図は39手目▲5三歩成まで】
後手はここから捌き切ってくる。

・再掲載 第8図からの指し手

△8八角成 ▲同銀  △4六歩 ▲5二と

△同飛   ▲同飛成 △同金  ▲3一飛(第9図)

【第9図は47手目▲3一飛まで】
大捌きは玉の遠い天守閣囲いがやれる。

後手は△8八角成から角を捌き、△4六歩から銀を取り、▲5二とには△同飛から思いっきり捌きます。
先手の囲いは見慣れぬ囲いなので、もしかしたら大捌きで攻め合えば簡単に崩せる・・・と言う期待も込められています。

しかし容赦なく▲3一飛と打ち込んだ第9図は、次の▲7一角 △9二玉 ▲8二金~▲7二金までの詰みがあり、先手に手番まで回っている始末。
この▲3一飛が詰めろで△3四銀取りなので、後手は一旦受けてから反撃に出ます。

 

さてここから終盤編の手筋を紹介したいのですが、流石に記事が長くなったので次回へ持ち越させていただきます。

 

 


◆天守閣囲い 駒組みポイント まとめ

今回紹介した天守閣囲いの3つの駒組みポイントをまとめて終わります。

天守閣囲い 駒組みポイント まとめ

1.▲5八金右と上がらず▲5七銀型(再掲載 第2図)を作るのが大事! これで1手早く仕掛ける事ができ、将来▲5八飛の筋を作れる。

  【再掲載 第2図は19手目▲5七銀まで】  
 ▲5八金右と上がらずに▲5七銀が大事。 

 

2.▲5五歩~▲5八飛(再掲載 第7図)と中央攻めを織り交ぜて仕掛ける。 5筋に飛車を回れる特性をフルに生かす。

  【再掲載 第7図は37手目▲5八飛まで】  
この▲5八飛があるので5筋から攻めやすい。

 

3.角交換に強いので、王手飛車の筋を気にせず攻め合える。(再掲載 第8図)

 【再掲載 第8図は39手目▲5三歩成まで】 
▲7八銀型なら△8八角成▲同玉△4四角で失敗。

この3つのポイントを押さえておけば、少々変わった駒組みが相手でも応用がきくでしょう。

 

 


◆次回予告 「天守閣囲い 終盤の受けの手筋編」

次回は再掲載 第9図以下の終盤戦を題材に「天守閣囲いの終盤の受けの手筋」を紹介します。

【次回予告図は△7五桂まで】
終盤最後のお願い。必須手筋で勝ちになる。

終盤で自玉が受からなくなったため、後手が寄せに出て△7五桂と打った局面。
▲同歩には△7六銀 ▲同玉 △7八龍から寄せてしまう狙いだ。

ここで天守閣囲いだけが持つ特殊な手筋で助かってしまうのだが、その手筋とは一体?
気になる下段龍への対応法も次回で紹介するのでお楽しみに!

伝説の囲いが再び将棋界へ君臨する日は近い?

 


◇次回の記事



 

 



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※今回は序盤変化を多く知りたいと言う要望があったので、kifファイルでのみ「対振り飛車穴熊 ▲9五歩型天守閣囲い」の駒組みを追加紹介しています。

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